※カカイル短編2※

□同じサイズ
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今 俺の目の前には
畳の上に広げた二枚のズボン。

里から支給されている忍者用の濃紺のズボンだ。

「……右がカカシさんので左が俺の…だよな。どう見ても。」

洗濯物を畳んでいる時に、フと気が付いた。

俺とカカシさんは腰回りが同じサイズの物を着用。
同じサイズで同じ色で同じ素材の物だから
一緒に住むようになり、洗濯したら どちらの物か分からなくなるなぁなんて思っていたのだが

「いいじゃない。同じサイズなら、どちらのを着用しても。俺は構いませんよ。」

そう言って カカシさんが嬉しそうにしていたので
何も気にする事なく洗濯したのだが

いざ 畳んで箪笥へ…と、手元に広げた二人分の数着の忍者服を目の前にして
初めて「あれ?」と気が付いたのだ。

「……洗って縮んだわけじゃないよな…。」

同じサイズなのに明らかに服の袖やズボンの裾の長さが違う……

試しに短いズボンを履くと長さがピッタリ。

「これ 俺のだな…。」

今度は長い方を履いてみる

「〜〜〜〜わかってるけどさっ!!カカシさんの方が背も高いしなっ!!」

少し余るくらい畳に付く裾の長さに、俺は恥ずかしさのせいか怒りのせいか顔を赤くし

一応カカシさんのと思われる上衣も着てみる。

「〜〜〜〜〜ちぇっ。手足長いから何だって言うんだよっ。」

袖は俺の指しか見せてくれない。

「カ…カカシさんの方が背丈有るからなっ。」

誰にともなく言い訳をしながら袖丈と裾の長い上下の忍者服を脱ぐ。

「あれ〜?いきなり服脱いでお出迎え?」
「 !!! 」

振り向くと、窓から帰宅したカカシさんが。

「違いますよっ!!てか、ちゃんと玄関から入りなさいって何度言えば…」
「先生こそ 窓開けっ放しで服を脱いだり着たり、やめてくださいよ。」

ムウッとした顔でカーテンを閉めるカカシさんだが…あれ?

「いつから見てたんですか?」

恥ずかしさから俺もムッとする。

「ん?何やらズボンを並べて考え込んでるあたりから。何してるのかな〜って。」
「 !こ、声かけてくださいよっ!!まったく…。」
「あ、服着ちゃうの?」
「当たり前ですっ。」

俺は そそくさと手足の短い方の服を着る。

「で、何やってたの?先生は。…俺が居なくて寂しくて俺の服を着てた?」

ニヤニヤと、服を着た俺を背後から抱き締める

「違いますよ。俺とカカシさんの…」

ふと 回されたカカシさんの腕を見た。

「ちょっと失礼。」
「何?先生。」


俺はカカシさんが今着ている上衣の袖に触れた

『カカシさんて…そう言えばいつも袖捲ってるよな…』

何の気なしに捲り上げてる袖を元に伸ばす

「 !ゲッ!カカシさん、これ袖短い!…俺のですよね?」

伸ばした袖はカカシさんの手首を露出させている。

「 まさか…!? 」

俺は屈んでカカシさんの脚絆を解く

「どうしたの先生?積極的。」

何か勘違いしているカカシさんを余所に俺はグルグルと脚絆を解いていく

「 ああっ!!ズボンも俺のだ!!」

脚絆に隠れて分からなかったが裾はカカシさんの足首を露出させて…

「くそ〜〜身長少ししか違わないのにっ。なんか馬鹿にされた感が…」

くぅ〜っと嘆く俺に、カカシさんは少し戸惑いながら

「俺に着られるの、そんなに嫌だった?」

と、悲しそうに聞いてきたので

「違います。サイズ同じなのに裾や袖丈の長さが違うから共用出来ないじゃないですか。」
「大丈夫だよ。俺いつも袖折ってるし、足は脚絆巻くでしょ?」
「カカシさんは良くても俺が駄目なんですー!!」

袖は捲る事ないし、裾だって長い分を折り上げて脚絆巻くと多少の違和感が…


それからは、ちゃんと二人の服を見分けて畳んで仕舞うけど


気にしない人なのか、カカシさんが俺の上下を身に付けて行く事が多くて困っているのが現状である。







 

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