捧げもの

□それは淡く優しい時間
1ページ/1ページ



 【それは淡く優しい時間】


俺の父さんは木の葉の白い牙と呼ばれる凄い忍者です。

仲間からも慕われ、明るく優しい父さんです。

俺も大きくなったら父さんみたいな忍者になりたい。

辛い任務から帰ってきても「ただいま。」って笑顔を見せる
そんな強い忍者になるんだ。


「カカシは段々と母さんに似てきたなぁ。」

ある日の夕食時、父さんが俺の顔を見ながらしみじみとそう言った。

「俺は父さんに似てるよ!この前、御意見番のコハル様にも言われた!」

― お前は父さん似かのう?小さいながら立ち居振る舞いも似てきたわい ―

確かに そう言われた。
母さんに似てるなんて… 女顔に似てるなんて言われたくない。
俺は父さんみたいなカッコイイ忍者になるんだから!

「父さん似かぁ…ははは。確かに“はたけ”の見事な銀髪を受け継いでくれたよなぁ。」

サンマの身を解しながら 父さんはニコニコして俺の頭を見ていた。
俺は「そう?」なんて澄まして返事をしたけれど、本当は そう言われる事が嬉しくてたまらないんだ。
俺は父さんの…「白い牙」の子なんだって。強く自覚出来るから。

「いつかお前と共に闘う日が来るといいなぁ。」
「二人で敵を倒しちゃおうよ!それまで俺も自分の術を開発するからっ!」
「術かぁ…ははは!そりゃ楽しみだ。」

父さんのチャクラ刀と俺の術で、沢山の敵を倒すんだ。
そしていつか「白い牙」の名を継ぐんだ。


その日は父さんと一緒にお風呂に入り、背中も洗いっこした。
父さんが家に居るときは、いつもそう。

父さんの肩や背中には刀傷とか残っていて
それを見るたび痛そうで顔をしかめてしまう俺なので

「古い傷だよ。下忍や中忍の頃に付けた傷だ。大丈夫だよ。」

と、笑って教えてくれたりするんだ。

そうだよね。父さんは強いから、今では敵に傷つけられるなんて事ないよね。

「さあ次はカカシの番だぞ。」

その言葉に俺は父さんの前に背中を向けて座る。

「カカシも大きくなったなぁ。四歳か。」
「俺も来年はアカデミーに入学でショ?父さんみたいな忍者になるよう頑張るよ。」
「そうだな。術を開発して父さんの右腕になってくれ。」

体をゴシゴシ洗われて、父さんと同じ銀髪の頭も洗われて お風呂から上がって寝るときには
父さんの布団に俺の布団をくっつけた。

そうして布団に入ってからは「ねえ、今回の任務の話をして。どうだったの?」と聞く。

「今回はなぁ…」
「今回は?」
「…カカシ、こっちにおいで。」


父さんが片手で自分の掛け布団を持ち上げて、俺に入るよう促す。

「仕方ないなぁ。じゃあ父さんの話が、よぉく聞こえるように一緒に寝てやるよ。」
「はははは。そうか。」

父さんの布団に入ると、父さんの温かさと匂いに包まれて何だか急に眠くなる。
俺は話を聞きたいから、眠くならないように父さんの寝間着の胸元をギュッと掴んで目を見開き
すぐ傍にある父さんの顔を見上げる。

「今回の任務は広い草原を走り抜けたんだが…」
「うん…」
「なんだ、もう眠いのか?カカシ。」
「眠くないっ!!眠くないから話してっ。」

父さんがクスクス笑うので少しムッとした顔をしてやる。

「わかった わかった。えーとだな、草原を抜けると岩山を越えていくんだが…」

父さんの声は とても優しい声

「気をつけないと、岩場の影から蝮や蠍が…」

父さんの胸に包まれていると気持ちいい…

「…カカシ?」

父さん…一緒に…一緒に任務に出ようね。
俺が父さんの後ろを守るから…


「と‥うさ‥ん‥まも…」
「ふふ…何を夢見ているのやら。」


俺は父さんが大好き

俺は いつか父さんと共に任務に出るんだ



ね? そうだよね 父さん…









 



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ