捧げもの

□strawberry kiss
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【strawberry kiss】



今日はアカデミーも午前で終わるからと
珍しくイルカ先生の方から式が飛んできた。

上忍待機室の窓からヒラヒラと入ってきたそれは
迷いもなく俺のチャクラを嗅ぎ分けるように
真っ直ぐと此方に向かって飛んできたのだった。

「あら、イルカから?何?ラブレター?」

うふふと笑いながら紅が近寄り、式を覗こうとしたので
すかさず胸のポケットへ大事に式を仕舞い込み
俺は「なーいしょv」と澄ました顔を見せてやった。

「なによぉ。ケチねぇ。」

いいわよ ふん。 と離れて行った紅は
すれ違いざまにアスマの顎髭を意味もなく1本引き抜いていった。

「っってえぇぇぇっ!!何だってんだ紅!!」
「うるさいわね。鬱陶しい髭だから1本抜いたまでよ!?文句有る!?」

ま、よその喧嘩は さて置き。

俺は こっそりと また式を取り出し内容を確認した。

『アカデミー校舎裏。生徒達の野菜畑に居ますので、お暇が有れば来てください…か。』

これって逢い引き?
思わずうふふと笑いを零しながら、俺は校舎裏へと向かった。



気配を消して そっと校舎裏に来た俺。
逢い引きなのに他の誰かに見られてはイケないと思ったのだが。

イルカ先生は太陽の光の下
気配も消さず、畑に佇んでいた。

「せーんせっv」
「 わっ!! 」

瞬身で彼の後ろに移動し、背後から抱き締める。

「ちょっ!なんで気配消してくるんだっ!!離れてくださいよっ!」
「え?密会じゃないの?」
「誰が密会するって書きました?てか、離れろって言ってんだっ!!誰かに見られたら…」

仕方なく離れると、先生がクルリと此方を振り向いた。

「まったく もうっ…。」

赤い顔で怒る顔も可愛い〜よvvv
て、それを口に出したら先生の怒りが倍になるだろうから言わないけど

「ところで用事は何ですか?水やりの手伝いでも?」

惚けて話題を変えると、「暑い日中に水はあげません。」と言い

「これです。今年の春先に植えた苗です。だいぶ成長してきたんですよ?」

先生は足元の畑を見た。
細く長く続く畝(ウネ)の上には、何やら野菜の苗が植えてある。

「自給自足ですね。収穫したら生徒達で食べるの?」
「ええ。芋は蒸かして昼に皆で食べ、ピーマンや茄子は自分が植えた苗の実を持ち帰ります。」

俺も茄子の苗を植えていますよ。
鼻傷を掻きながらチラリと俺を見た先生を俺は とても愛しく思った。
茄子は俺の好きな野菜の1つだからね。

「それでですね…、ちょっと此方に来てください。」

先生が畝と畝の間を歩いて行き、畑の端に有るビニールハウスへと俺を案内してくれた。

「入っていいの?」
「いいですよ。中は暑いので、カカシさん口布下げた方がいいかも。」

どうせ誰も居ないし、ビニールって言っても半透明だし

先生の御言葉に甘えてビニールハウス内に入ってから口布を下げた。

「これは…」

目の前の長く続く三本の畝は黒いビニールで覆われ、その上には

「莓ですよ。可愛いでしょう?もう赤くなってきているんです。」

黒いビニールの上に緑の苗が広がり、ちらほら赤い実も見て取れる。

「これを見せたかったの?」
「はいっ!赤い実が沢山付いてきたからカカシさんにも見て貰おうと!」

ニカッと笑う先生に、その気持ちが嬉しすぎて
今すぐ押し倒して腰を振りたい衝動に駆られる。

だが大丈夫。俺もだいぶ我慢が出来る子になってきたよ?

「嬉しい 先生。何が嬉しいって、先生が1番に見せたかったのが生徒ではなく この俺だって事v」
「ああ、はい。生徒は皆帰っちゃいましたからね。でも誰かに見せたくて!!」
「 ・・・あ〜・・そう・・・ 」

俺の僅かなガッカリ感を感じとる事もなく
いけずな先生は笑いながら畝の間を歩いて行く。

 
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