*過去拍手文2*

□今年もよろしく
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正月の朝のこと


イルカが台所に立つなり

「今年もよろしくお願いします。」

と、柏手を打った。

丁度 冷蔵庫から牛乳を取り出していたカカシは
キョトンとしながらイルカに聞いた

「先生、何に柏手を打ったの?」
「台所ですよ。流し台もコンロも。いつも御世話になっているでしょう?」
「だから柏手を?」
「はい。今年もカカシさんに美味しいものを作ってあげられますようにと。」
「へえ…」

台所に“台所の神様”と言うものが居るのなら
間違いなくイルカは愛されているだろうとカカシは思う

『先生の作るもので不味いものなんてないからね。』

「カカシさんも御世話になっているもの、なるものには“今年もよろしく”って言ってみてはどうですか?」

ふふっ と笑って元旦の朝食の支度にかかる

『御世話になるもの…かあ。』

卓袱台の前に座り、柏手を打つほどの物は有るだろうか… と考える

「何か柏手を打つようなもの有りましたか?」

イルカが御節のお重を卓袱台に置きながら聞いてきた

「御世話になるもの… ですよねぇ?」
「そんな無理に考えなくても。」

ハハ… と笑いながら、イルカは再び台所へ戻るため背中を見せた

『そうだ!それこそ先生に“よろしくお願いします”じゃないか!』


いつも傍に居てくれてありがとう
いつも心配してくれてありがとう

美味しい御飯も 優しく温かな空間も
いつも貴方が与えてくれる

こんな俺を愛してくれてありがとう


『先生に感謝。』


カカシはイルカの背中に向かって柏手を小さく打って言った

「今年もよろしくお願いします。」

柏手を打ったあと 祈るように手を合わせたまま目を瞑っていたら

「 カカシさん 」
「  !?  」

目を開けるとイルカが此方を振り返ってムッとした顔を見せていた
そして ひと言

「今 俺の尻に向かって“今年もよろしく”って!」
「   は?   」

そりゃ座っている俺の目線は先生の尻の辺りになるけれど…

「いや、あの、それは誤か…」
「そんな事ばかり考えて!カカシさんのスケベ!しばらく布団は別々です!」
「 ! イルカ先生!誤解ですーっ!」
「知りません!」



正月早々 不本意ながらイルカを怒らせてしまったカカシであった。



「先生ぇ 誤解ですってばぁ〜。」










 



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