*過去拍手文2*

□実らぬ恋でも
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※シリーズより「小鳥の恋/もっと」の、その後※






受付終了二分前


窓の施錠、大事な引出しの施錠を済ませ
あとは報告書に押す判やら何やらを片付けるだけの帰り支度の最中

「いいですか?まだ大丈夫だよね?」

ひょいとカカシさんが顔を見せた

「あ、はいっ!大丈夫ですよ!どうぞ!」

カカシさんと二人きりで顔を合わせるなんて
雷の国へ行ったとき以来だ。

「お疲れ様です。」
「先生もお疲れ様。こんな時間まで大変だね。」

彼からの労いの言葉に単純な俺は内心舞い上がる

嬉しい 嬉しい 嬉しい!

まともに目を合わせると赤面しそうなので受け取った報告書を確認しながら話し出す

「カカシさんこそご苦労様です。…また五代目のお使いですか。」

滝隠れの里まで書状を運んだらしい。

「誰も居なくて、たまたま目の前に俺が居たものだから。」

ハハ…と軽く笑いながら頭の後ろをポリポリ掻いている

でも待てよ?前回の任務報告の時、五代目には
危険を伴わない任務なら、また小鳥を連れて行きたいような事を言っていたはず…

『やっぱ邪魔だったのかな。』

糞爆弾は誉めてくれたのに

「あの青い小鳥は伴わなかったのですね。」

ちょっと拗ねたように聞こえたかもしれない

「ああ… あの小鳥ね。」

カカシさんは静かに言うと

「小鳥も忙しそうですしね。」 と微笑んだ

ん? 小鳥が忙しいだなんて、何故そう思ったのだろうか?


「そう言えばね報告遅れましたが、あの小鳥に名前を付けました。」


知ってる。 しかも その名前は…


「先生からの紹介だったから“イルカ”って付けちゃいました。」
「え!あははは!そーなんですかぁ!」

初めて知った風に言ってみたが


「…先生 もっと驚くかと思ったのに。いいんですか?勝手に名前借りちゃって。」
「いーですよ。なんと呼ばれようが。」
「呼ばれようが?」
「 !! あ、いや、ハハハ…あの小鳥も特別名前が無かったもので…。そうかぁ!イルカかぁ!ハハハ!」
「 ……… 」

俺は確認し終わった報告書に判を押し
「不備なしです!お疲れ様でした!」とニカッと笑って話を終わらせた。

「先生もう終わりでしょ?このあと帰るだけ?何か約束でも有りますか。」
「まさか!彼女も居ない淋しい男です!帰って飯食って寝るだけです!」

言わなくてもいいような、どうでもいい自分情報をカカカ!と笑って話すと
カカシさんから信じられないお誘いを頂いた。

「じゃあ、彼女居ない同士で飲みに行くってのはどうですか?ダメ?」
「え?は… あの、俺とですか?カカシさんが?」
「うん、お腹すいたし。俺が御馳走しますから、ね?行こ?」

うそ!マジでか! カカシさんから食事に誘わ…

「いっ行きます!行きます行きます行きます!」
「良かった。じゃ、片付け終わるの待ってます。」
「はいぃぃぃ!今すぐ片付けますともっ!」


やった!夢みたいだ!
まさかこんな早くに夢が実現するとは思わなかった!
人間の姿で、本来の自分の姿でカカシさんと食事が出来るだなんて!

「終わりましたぁ!ささっ!行きませう!」
「ハハハ、なんか先生テンション高いね。」
「そりゃあ奢りで飯食えるんですから!」


なーんて可愛くもないことを言ってみたりする


だって どうせ   実る恋でもないし



「何食べようかなぁ?フグ?鮑?鰻?」
「何でもお好きなものをお好きなだけどーぞ。」

受付所の扉に鍵をかけながら
「御厚意に甘えます!」などと図々しい事を言ってみても
「うん。いーよ。」ってニコニコしているカカシさんに
俺の恋心は膨らむばかりだった。


外は 少しだけ肌寒く感じ
熱燗もいいねーなどと二人で盛り上がり

小鳥もいいけど このままの姿でも充分幸せだぁ、と感じる夜になった。




御馳走食わせてくれたカカシさんに感謝

そしてまた 小鳥が任務で御一緒出来ますように。




おやすみのキスが出来るかも…  だ










 



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