*過去拍手文2*

□昼下がりの…
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「たっ大変だっ!」

昼を少し過ぎた頃
職員室で弁当を開いていたイルカが
急に血相を変えて立ち上がった。

椅子がガタタン!と背後に倒れたのも気が付かないのか
「大変だ!大変だ!」と開いた弁当箱の蓋もそのままに
慌てて職員室を出て行った。

「?イルカ先生どうしたのかしら?」

すずめ先生が気を使って、開いたままの弁当箱に蓋をしてあげる。

「何か忘れていた事でも有ったんじゃないですか?」

男性教諭も倒れた椅子を元に戻しながら

「しっかりしているようで案外おっちょこちょいですからねぇ彼も。」

そう言い 皆の笑いを誘っていた。



一方 こちら上忍待機室では


「…終わったな…。」

カカシが暗い顔で肩を落としていた。

「?どうしたカカシ?」

様子を見ていたアスマが声をかけたが

「でも俺は諦めないよ。」

何やら一人の世界に入っているようで
「くぅ…」と苦悩の表情を浮かべていた。

「だからどうしたってんだよカカシ。」

めんどくせぇなと思いながらも
カカシの肩に手を置こうとした時

「カッ!カカシさんーーっ!ちょっと待ったぁー!」
「!!イルカ先生!!」

アスマを跳ね除ける勢いでカカシが
振り向く

「先生!どういう事!許さないからね!嘘だと言って!」


ガバッと立ち上がり体を捻るように振り向いたままのカカシの手には… 弁当箱

「あ!まだ手を付けていませんね?良かった〜。」

カカシの差し出した弁当の中を見てイルカがホッと胸を撫で下ろした。


「え?先生もしかして自分のと間違えて俺に持たせた?」
「すみません!やっぱお揃いの弁当箱と包みは失敗でしたね!」

後頭部に片手を回し「えへへ。」とイルカは笑う

「もうっ!先生のおバカさん!“俺達の仲も弁当に天ぷらが入った時が潮時ですよ”とか言ってたからさっ!」

俺 海老の天ぷら見て真っ青になりました!うわーん!
エヘヘと笑うイルカにガバリッと抱きついたカカシは「バカ、バカ!」と、甘えて泣き出した。

アスマを始めとする他の上忍、特上達は
皆一様に死んだ目で、各々の昼食を取り出す。

「で、先生。俺の本当の弁当は?」
「あ!慌ててたから職員室に置いてきちゃいました!」

またもやガハハ!と笑うイルカに

「もう!許さないんだからね先生!」

そんな可愛い顔で誤魔化したって許しませんよ!
更にぎゅうぎゅう抱きつきながら
何やらイルカの耳元で囁いた。

「なに言ってんですか!もうっ!」

真っ赤になるイルカに

「お弁当裏庭で一緒に食べよ?」

と、イルカの腕を取り

「職員室の弁当は瞬身で取りに行きましょ。」


そう言いポフンと消えていった



紅が作って寄越したお握りを、げんなりした顔で見つめていたアスマに
側にいたゲンマが、カカシ達に呆れながら声をかけてきた

「この部屋で囁いたって皆まる聞こえだっての、なあ?」


何が“今夜は寝かせないよ”だよ。アホらしー。




皆の食欲が一気に失せる

そんな昼下がりのバカップルであった












※ちなみに潮時って、引き際(別れの時とか)のことではなく
「丁度良いとき」って意味らしいです。
この話の中ではカカシと先生は別れの時って意味で使ってますね(^w^)
まあ流してください〜。

 
 



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