*過去拍手文2*

□昼下がりの…A
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「たっ大変だっ!」


それは昼飯時
アカデミーは休みだったが、教師数人で運動会準備の為に集まった日の事。
その日は一楽にてラーメンに餃子が三個付くと言うサービスデーだったので
イルカは同僚二人と暖簾前に並んでまで食べに来たのだったが
漸く席が空き、注文も済んで待ってましたのラーメンと餃子が目の前に運ばれて来たときに
「大変だ!」と何かを思い出したイルカがガタンッと椅子を鳴らして立ち上がったのだ。

「なっなんだよイルカ!ビックリさせんなって。」
「また何か忘れ事か?」
「ヤバイ!餃子三個サービスに浮かれてすっかり忘れてた!」
「だから何だって… お、おいイルカ?」
「どうしたイルカ!?」

イルカは慌てて立ったまま口に割り箸をくわえ、右手にラーメンの入った丼、左手に餃子の皿を持って

「ふぁふい!ほひゃひひ!(悪い!お先に!)」

そう一言残して店内から瞬身で消えた。

「ったくイルカの奴、仕事は出来るのに変なとこでおっちょこちょいだよなぁ。」
「おい、どうでもいいけどアイツ金置いてってないぞ?」
「 ! やられた!」





「せんせーのバカ…」

その頃カカシは一人丘の上で膝を立てて座っていた。
横には高級料亭の二段弁当が桜色の風呂敷に包まれ置いてあった。

今日は天気も良く暖かなので、他にもチラホラと弁当持参の人が楽しそうに食事をしていた。

実はカカシも正午にこの丘の上で二人で御弁当食べましょうねと
イルカと約束していたのである。

しかし既に一時間は過ぎている

「忙しいかもしれないけどさ、仕事なんて仲間に押し付けて恋人優先にして欲しいよね…。」

クスンと泣きたくなった時
バフンッ!と盛大な音と白煙をあげて目の前にイルカが現れた。

「せ… 先生?」
「ひゃ…ひゃひゃひひゃん!ほははへひひゃいは!(カ…カカシさん!お待たせしました!)」

目の前に立つ愛しいイルカは
何やら両手も口も塞がっているようだ。

「…ラーメンと…餃子?」
「 ! ひゃい(はい) へへへ…。」

カカシはニコリともせずに立ち上がり、イルカの様子を伺うように彼の回りをクンクン匂いを嗅ぎながら回った。

「…まさか俺との約束忘れてた訳じゃないですよね?」

そう言いイルカの口から割り箸を取る。

「忘れてなんていません!これはカカシさんとラーメンも食べたいな〜って!」
「ふうん? じゃあなんで右肩と左肩辺りから他の男の匂いがするの?」
「 へ? 」
「おおかたラーメン屋で男に挟まれて座ってたんでしょ?」
「 !!! こ、これが出来上がるのを待ってた間に!座ってました!ごめんなさい!」
「食べていくつもりもないのに席に座っていたの?」
「あ、はい!空いてたもんで!」
「空いてて両隣に男?」
「いやあの…同僚だったので…」

だんだんシュンとなるイルカに溜め息を吐いて
カカシは彼の右手からラーメンをそっと取り、汁の溢れないような場所に置いた。

「イルカ先生はラーメンの事となると目がないから…」
「ごめんなさいカカシさん…。待たせてしまって。」
「いいですよ。さ、御弁当食べましょう?」

その言葉にイルカがピクリと反応した

「いえ、ラーメンが先ですよ。伸びちゃいますからね。」

その言葉に今度はカカシがピクリと眉を上げた

「え?イルカ先生が此処の料亭の弁当食べてみたいって言うから予約までして買ってきたんじゃないですか。」
「それはすみませんでした。でも弁当は残しても大丈夫でしょう?夜に回せば夕飯も楽チンです!」

名案でしょ?と言わんばかりの笑顔を見せたが、カカシの眉間には皺が寄ったままだった。

「先生のおバカ!俺との約束忘れてラーメン屋に行ってたんでしょ!正直に言いなさいよ!」
「ちっ違いますーだ!今日は餃子三個が付くサービスデーだったからカカシさんにも食べさせようと思ってですねぇ…」
「まだ言うか!あんた分かってんだろうね?明日の朝には足腰立たないようにさせるからね!」
「 ! バッ…////バカな事言わんでください!カカシさんのバカ!」
「じゃあ弁当が先!ラーメンなんて伸びちゃえばいいんですよ!見なさいよ、誰もここでラーメン食べてる人なんて…」

カカシが両手を広げて周りを見ると
うんざり顔の上忍や、ゲッソリ顔の中忍達が
そろりそろりと丘の上から立ち去るところであった。

「ほーら、カカシさんが変なこと言うから…」
「…ふん。」

その時 グウゥゥゥ〜とイルカの腹が盛大に鳴った

「…食べましょか…先生。」

急に戦意を喪失したカカシが呟くように言った。

「どっちを?」
「ラーメンでいいですよ。伸びちゃうし。」
「御弁当も少し食べても良い?」
「もちろん。残りは夜に食べましょう。」

結局二人は仲良く並んで腰を下ろし
ラーメンも餃子も分けあって食べ
二人っきりになった丘の上でイチャイチャと昼食を食べたのだった。



昼下がりの迷惑バカップルである









 



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