*過去拍手文2*

□暑中お見舞い申し上げます
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暑い。 腹が立つくらい暑い。
扇風機の風は、ほぼ温風。開け放した窓の外からは耳を塞ぎたくなるくらいの蝉の大合唱。
“蝉の声”とは言うが、あれは喉から出す声なのではないから“大合唱”と言う言い方は可笑しいものか?

卓袱台の上には飲みかけの麦茶が入ったグラスと葉書が数十枚。
俺は今せっせと暑中見舞いを書いているのだ。

「ね〜 今年はクーラー買いましょうよ。部屋が涼しければ先生の仕事も捗(ハカド)るってものだーよ。」

葉書を書くべく座っている俺の腰元に、まとわりつく様にゴロゴロ寝転がっている上忍様。
お前が一番暑苦しーんだよっ!!

「カカシさん。俺は今、生徒達や同僚などに暑中見舞いを書いているのです。」
「暑中見舞いねぇ…。律儀だね先生も。」
「なので筆がぶれては堪りませんので、離れていてください。」

暑苦しいし

「やーだよ。動かさないからさ、ね?」
「……絶対ですよ?」
「うん。」

えーと。暑中お見舞い…申し…上げます と。

  チュッv

「……何やってんすかアンタ。」
「シャツを捲って腰にチュウした。」
「動かすなって言っ…」
「いま手が止まってたからいいかなと思って。」
「ちょっと書き終わっただけですよ。邪魔しないでください。」
「ちぇー。」

えーと 新学期には約束の分身の術で二体、期待してるぞ! …と。

  チュッv

「だーっ!離れろ暑苦しい!」
「ひっどーい!先生ひどい!恋人だもん“熱い”に決まってるじゃないですか!」
「書き終るたびにチュッチュチュッチュ煩いわ!」
「俺からの“暑中見舞い”だよ。しょっチュウお見舞いvうふふふふ。」
「うふふふふ、じゃねえぇぇぇっ!!」

離れろ!!寝転がっている上忍の頭を押しやれば
嫌です!!かまってよっ!いけずっ!と腰に抱きついてくるアホ上忍

「だーっ!暑い!」
「俺は暑くないよ。忍ですからね、そのくらい我慢出来ますし。」
「俺はあなたとは違う!」
「あれ?どこかで聞いたようなセリフww」
「とにかく!これ早く書いて早く出しちゃいたいんですよ… !!」
「 ん〜〜v 」

気がつけば目の前に眉目秀麗な顔が迫り来て、ムチュッ!と唇を奪われた。

「〜〜〜〜ん〜ぷはっ!!い、い、い、いきなりぃ!!」
「構ってくれない罰ですよ。ま、今日はこのくらいで勘弁しますけど。」

してやったりな顔でニヤリとすると
暑苦しい男は再びゴロリと寝転がり、いつもの愛読書を広げた。

「 ……ったく…。」

さっさと書いてしまおう。
考えてみれば久々の二人揃っての休みだもんな……
なので彼には背中を向けたままだが言ってみる

「これ書き終わったら、一緒に風呂でも入りましょう。汗流してスッキリしましょう。」

そうしてチラリと後ろを見ると
俺の一言に「え?」って嬉しそうに此方を見る頗(スコブ)る可愛い上忍(と、俺には見える)が居た。

「汗流すの?風呂場で?スッキリするの?風呂場で?」
「あーはいはい。普通に体洗って湯船に浸かって、いい汗流すだけですからねー。」
「えー?」
「これが俺からの暑中見舞いですよー。」

ニカッと満面の笑みで振り向いてやれば
「!!…////ま、いいですけどっ。」と赤い顔で上忍が不貞腐れて目をそらした。













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