*過去拍手文2*

□秋深し隣は何をする人ぞ@
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カカシの部屋の風呂が壊れた。
破壊した犯人はカカシ本人だ。
髭を剃っているときに、ふと目にした床を走るゴキブリ。
俺の部屋に出るなんざぁ、いい度胸だーね。とばかりに
持っている剃刀を投げつけようかと思ったが
刃に付いている髭剃り用のムース状の泡が飛び散るのも嫌だったので、それは却下し
近くのコップに立ててあった歯ブラシも目に付いたが嫌だから却下し
何で退治しようかと思った時には
風呂場方向へ走り去ろうとするゴキちゃんに少量の雷切を放っていた。
しかし チョロチョロするゴキブリに一発二発食らわせたつもりが
気が付くと風呂場の床を一部破損、浴槽も一部が破損していて…
「…ま、まあこんな事も有るよね。」などと言ってみたものの
相当疲れてんな自分。と、少し休みも貰いたくなった。
ゴキブリは浴槽の瓦礫の中で死んでいたが
一匹いるという事は、まだ他にも居るという事らしく…
「五代目に頼むか。」と呟くと、支度をして朝から火影の元へと足を運んだ。



「なに?ゴキブリ駆除に風呂場の修理に仮の住まいだぁ?」

朝から不機嫌そうに書類の山に囲まれ、判子をバンバン捺しまくっている綱手が声を荒げた。

『あ〜あ…面倒くさい時に来ちゃったなぁ…。』
「何をやってんだい!お前はっ!たかだかゴキブリ一匹に!」
「あの…俺、疲れてるんですよね…ここんとこ休み無しで…。」
「忍者が何を言っているっ!」

そこへシズネが綱手の前へ茶の入った湯呑みを置きながらカカシに助け舟を出した。

「いえ綱手様。本当にカカシさんは、ここ二ヶ月近く休み無しで里外のアチラコチラで任務されています。」
「む… そうだったか?」
「はい。今日も“雲隠れへ密書を運ぶのはカカシだな”って先ほど綱手様がおっしゃっていましたが…。」
「ふん。そうだったかな。」

カカシは少しやり切れなさを顔に出して綱手を見た。

『この人、俺の事ロボットか何かと思ってんだろうか…。』

普通に疲れますって。 そういう思いで大きく溜息も吐いてやった。

「わかったよ!休みをやればいいんだろ?それと何だっけ、ゴキブリ退治に新しい家か?」
「ありがとうございます。害虫駆除に今の部屋の風呂場の修理と…その間の仮の住まいを用意頂ければ。」
「シズネ!手配してやりな!」
「はい綱手様。」
「あとはアレだ、今日から十日程の休みをやれ!それで文句もあるまい!」
「はい綱手様。」
「十日も…。ありがとうございます。」

正直、十日も休みは要らなかったのだが
多分十日後からは、また酷使されるのが目に見えているのでシッカリ休んでやろうと決めた。
新しい仮住まいは、今から空いている上忍官舎の部屋を探してみるので
それまで上忍待機所で待つようシズネから言われ、待機所へ足を向けた。




「あ?お前待機じゃないのか?」
「だーよ。休み貰った〜v」

ニコニコとVサインを出すカカシと、不満気な顔のアスマに紅が紙コップのコーヒーを差し出す。

「やっと休み貰ったの?カカシずーっと任務続きだったものね。」
「そうだったか?お前やけにカカシの事を見てるんだな。」
「あらぁヤキモチ?」
「ちっ、違っ!そんなんじゃねーよ!」

ウフフと笑い、紅もコーヒーを口にしながら
「カカシが休みで里に居る…て言うのが、ずっと無かったから心配してたのよ。」と眉を下げた。

長期任務で里を離れているのではなく
ちょこちょこと小刻みに任務に出ているのが気になっていたと言うのだ。


「そういう使われ方って言うか、任務の仕方って疲れるでしょ?」
「そういやぁ、ガイの奴も“カカシの休みはいつだ?”って聞いてたなぁ。」

いや、ガイの場合は俺の休みイコール“勝負する日”なんで…
それは放っておいて良し。と、カカシは独りごちてコーヒーを啜る。

間もなくシズネが待機所へやってきた。
これから仮住まいを案内すると言う。
待機所を出て、仮住まいへと向かう途中でシズネが申し訳無さそうに話しだした。

「実は上忍官舎に空きが無くて、これから行くのは単身者の中忍用アパートなんです…。」
「別に何処でも構いませんよ。」
「良かった。カカシさんなら、そう言って下さると思ってました。」

辿り着いたアパートは、二階建ての至って普通のアパートで…

「でも、壁が薄いのかシンとしていると隣の部屋の咳まで聞こえるって聞きました。」
「はあ…。」
「えーと、なので周りに気を使って女性は連れ込むなと綱手様が…」

モジモジと赤い顔で申し訳無さそうに言うシズネにカカシは余裕の笑顔で返答してやった。

「大丈夫ですよ。そんな人居ませんし作る暇もないって綱手様に、よぉ〜っくお伝えください。」

「そうですよねぇ…」とシズネは、同情した目を向けたあと鍵を渡して戻って行った。

「部屋見てから荷物を運ぼう。」

溜息ひとつ吐き、十日間の自分の城となる二階の角部屋へと向かった。









 



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