*過去拍手文2*

□秋深し隣は何をする人ぞF
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「へえ、湯治ですか。」
「あはは。年寄りくさい趣味でしょう?」
「いーえ、温泉気持ちいーですもんね。」

酒が進むと二人の会話も滑らかになっていた。
今はイルカの趣味の話をしていたのだ。

「湯治っても、なかなか時間が取れなくて行けないのが現状です。」
「アカデミーの先生方も忙しそうですものね。」

この人と二人で温泉に行って、ゆっくりするのもいいなぁ…と、カカシは思った。
海が見える部屋が良いな。夕陽が見える部屋。
二人窓辺に並び、暮れ落ちる太陽を見ながら酒を飲む。
温泉宿だから湯上がりで浴衣姿のイルカは、酒で頬を染めながら
そよぐ風に靡(ナビ)く後れ毛もそのままに「ふう…」と吐息をはいて…

「で、カカシさんは?」
「 !! あ、はいっ。え?何でしたっけ?」

ハハ…と笑って誤魔化したが、妄想の中のイルカがやけに艶っぽかったのでドキドキしてしまった。

『馬鹿な。俺の勝手な想像なのに。』

「あれぇ?もう酔いが回ってきましたか?カカシさんてお酒は弱い方ですか?」
「いえ、普通かと… すみませんボーッとしちゃって。ハハハ…」

あまりに居心地の良い部屋なもので…
そう言って照れ笑いをすると
イルカは快く「いつでも来てください。カカシさんとお知り合いになれて良かったです。」と言ってくれた。

来たい。また来たい。またこの人と同じ時間を過ごしたい。
カカシの心の中で、ムクムクとイルカへの気持ちが膨らんでいく。

「俺にそんな事言っちゃダメですよ。本気にしちゃうから。それに…」

それに貴方には金髪の彼女が…

「本気にしてくださいよ!最近まわりの友人が、こぞって彼女できちゃって…。」

遊びに来てもくれなくなったと、少し不貞腐れたように言った。

「あ、でもカカシさんなら彼女くらいいますよね?その… 男前ですし。」
「彼女なんていませんよ。それより貴方こそ居るのでは?」
「うはー!居たら良いんですけどねえ !」

うそ。居るくせに。

「へえ?そうですか?先生なら髪の長い子がタイプとか?例えば…金髪とか。」
「別に容姿は気にしません。俺と気の合う優しい子がいいなぁ。」

エヘヘと照れ笑いをするイルカに、カカシは面白くない。
かと言って「あの金髪ツインテールは何なんですか?」などとも聞けない。
彼とは“今日知り合った”ばかりなのだから。

『待てよ?彼は教師だよな… 教え子って事も…。』

「それにしてもイルカ先生の部屋は、ほんっと居心地が良いですねぇ。教え子なんかも泊まりにくるんじゃないの?」
「居心地良いかは分かりませんが、よく泊まりにくる奴はいますね。ははは…」
「女の子?」
「まさか!俺んち泊まりに来たいなんて女子は居ませんよ!」

あ!自慢にもならないか!
そう言って笑ってはいるが、ならば昨夜の女の子は何だと言うのか。
公には出来ない相手?

「カカシさん、泊まっていかれますか?」
「 え! 」

遠慮無くどうぞー  ニカッと歯を見せて笑うイルカに
「はい。よろしくお願いします。」弱々しい小さな返事を
真っ赤な顔で返すカカシだった。







 



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