※カカイル短編3※
□二人合わせて丁度いい
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久しぶりに落ち込んだ
嫌な事が重なりすぎた
体術の授業でケンカをし出した生徒がクナイを持ち出し相手に怪我をさせた
俺が止めに入った時には生徒の一人が腕に切り傷を作った後だった。
深い傷ではなかったが、俺の監督不行き届きだ。
職員室に戻れば
前からナルトの件で俺を良く思っていない奴らが薄ら笑いを浮かべながらヒソヒソ話
受付に入れば嫌な上忍に絡まれ
極めつけは仕事帰りに耳にした昔よく遊んだ同期の奴の任務先での死だった。
胸の中のモヤモヤが取れないうちに次の打撃
それの繰り返し
心臓に毛が生えていると言われる俺でも
さすがに立ち直る隙もない一日だったのだ。
「ただいま…」
「お帰りなさい先生!今おでん温めて… どうかした?」
「いえ 別に…。」
今日は非番のカカシさんが笑顔で迎えてくれたのに
おでん… 作ってくれてたようなのに
駄目な俺は笑顔も作れなくなっていた。
「… 先生?」
「ごめんなさい。まだお腹すいてなくて…。」
壁に寄りかかるように座り込むと
カカシさんも隣に腰を下ろして俺の顔を覗きこんだ。
「お腹…すくまで俺も待ってるからさ。一緒におでん食べようね。」
「 …… 」
カカシさんは、そっと俺の手を取り優しく握りしめた。
そして俺は何故だか彼の手の冷たさに笑ってしまう
「カカシさんの手、相変わらず冷たいなぁ。ふふ…」
「…先生の手は暖かいよ。ほら、こうして握っていると俺の手まで温かくなる。」
「カカシさんが温かくなるなら良かった。」
俺が少し笑顔を取り戻したせいか、カカシさんも静かに微笑みながら俺を見ていた。
その笑顔 反則なんだけどなぁ…
「ね、俺と先生の体温で… 二人で丁度良くなるんですね。お風呂で言えば、いい湯加減?」
「なんすか、その例え。」
「俺と先生は二人で丁度いいって事ですよ。俺には先生が、先生には俺がいなきゃダメって言う。」
「へー なるほどねぇ。」
いつもの彼の甘い言葉に嬉しいながらも照れ臭すぎて
ついつい意地悪くニヤニヤしてしまう。
そしていつもの調子に戻りつつある俺に気を良くしたカカシさんは肩をぶつけながら
「先生の意地悪!おでん食べさせないよ?」と仕返しをしてきた。
その間も手は固く握られたままだ
「カカシさん。」
「 ん? 」
「好きですよ。」
「 !! 」
空いてる手で彼の顔を引き寄せ口づける
冷たいあなたの手が 俺の体温で温かくなり
俺のキスで熱くなってゆく
俺とあなたは二人合わせて丁度いいんだ
終