∞シリーズもの3∞

□告白〜小鳥の恋/それから〜A
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「初めて小鳥の姿のイルカ先生を見たのは…」

カカシさんが話しだす。
俺は話しだしたカカシさんの顔を見てから、次に彼と同じ様に目の前に広がる景色へと顔を向けた。


あれはよく晴れた日でした。
爽やかな午後で上忍待機所の外の芝生も寝転がるには気持ち良いだろうと、久しぶりに八忍犬を口寄せした日です。
最初こそ走り回ったり、じゃれついたりしていた忍犬達も食事が済めば昼寝をしだしたので、自分も遅めの昼食をと待機所へ戻ったんです。
誰かの差し入れのカップラーメンが有ったなぁ…って。
「ほんと言うと、忍犬に心配されたんです。お前は餌食べなくていいのかって。」そう言うとカカシさんはアハハと笑った。
「餌!」俺も一緒になって笑った。カカシさんは忍犬にも愛されてるんだ。当たり前な事だろうけど、そう言うのって羨ましい。
カカシさんの話は続く

それでね、待機所の窓からブル… あ、一番大きな忍犬ですが、そいつの頭に何やら青いものが停まっているのが見えたんです。
「あ…」思い出した。 カカシさんの大きな忍犬の頭に停まった事を。

「ね?思い出しましたか?俺の忍犬に停まった事あるでしょう?」
「初めて小鳥になった日の事です!え?まさかその時すでに!?」
「初変化の時だったの?…でね、先生も忍者なんだから分かると思うけど、なんて言うか“何か変だぞ?”って感じる時って有りますよね?まさしくそれでした。あれは只の小鳥ではないと…」
「か…感じたのですか?」
「はい。良くないものとしてではなく… 」

そこまで言ってから カカシさんは口元に折り曲げた人差し指を当てて少し考えてから再び口を開いた。

「今考えると、それは大好きな人の気配を感じたからではと思うんですよね…。」
「すっ…」

好きな人って俺?え?俺?……だよ… な…
カカシさんは「思うんですよね」って言ったあと、すごく嬉しそうな顔で笑っていた。
俺は嬉しいのを通り越して『すみません!好きなのがこんな俺でっ!』と凄く申し訳なくなって
笑い返したくても「あは…あははは…」なんて、強張った笑顔しか返せなかった。
そんな俺を見て「ふふふ…」と余裕の笑みを見せて「だから写輪眼で見ちゃいました。」とイタズラっ子のような口ぶりで告白した。
そうか、写輪眼で見たのか。 …………て…

「写輪眼で見たんですかっ!」
「しーっ!先生声大きいよっ。折角二人きりなのに誰か来ちゃうでしょ?」
「え?あれ?でもカカシさん、綱手様には写輪眼では小鳥のチャクラしか見えないような事…。」
「それ…」
「え?」
「あ、いえ。…はい、実は薄っすらと先生の肩辺りから上、顔は見えていました。」
「え……」

俺の頭は軽くパニック。まじバレていた。もろバレていた。

「知っていたなら何故言ってくれないんですかー!」
「だってその後の先生の様子から、秘密にしておきたいんだなーと。それにその最初の時は別に聞くまでも無いかなーなんて。」
「言ってくださいよ聞いてくださいよ勘弁してくださいよー。」

ハハハと笑われ、俺も まいったなーなんて思った時 ふと気がついた。
カカシさんは小鳥が俺だと知っていたからシズネさんに俺の好きそうな味の摺り餌を作ってもらったりしていたんだ。
……そうか。あの時…洞穴で椿さんの胸を見せなかったのはヤキモチを妬いての事だったのか…。 ちぇ。

「それより ねえ先生?」
「はい、何でしょうか。」
「俺もひとつ確認しておきたい事が有るのですが。」
「?なんでしょう?」

今更なんだというのか

「先生は小鳥の姿の時でも、ハッキリと自分の意思って有りましたよね?俺の言っている事も行動も、人間のイルカ先生として理解していましたよね?」
「あ… えーとぉ…。」
「前にシズネさんがイルカ先生は“私達の言っている事は分かる”と言ってました。」
「うっ… そ、そうですか。」
「小鳥の先生は甘え上手で可愛かったよ。」

そんな涼しいさわやか笑顔で言われても、恥ずかしすぎて「ハイそうですか」とは言えない。

「小鳥になったら何でも出来たんです。どうせ俺の姿が見えてるわけ無いし俺だって分からないだろうからと。」
「先生も…俺と一緒に居たくて小鳥になってくれてた?」
「…はい、すみません…。小鳥の姿ならカカシさんの傍に居ることが出来るから…。」
「……俺もです。小鳥の先生なら独占できるから。俺の忍鳥として傍に置いておけるから。」

俺達は顔を見合わせフフッと笑った。

「俺達お互いに同じように相手を思っていたんですね!」
「お互いに気持ちはひとつだったんですね。」
「もっと早くにカカシさんに正体をバラしていればよかった。」
「でも小鳥だからこそ役に立った任務だって多々有りましたよ?…ほら、露草姫の時だって。」

露草姫!露ちゃん!紫露草のように綺麗な紫色の髪をした可愛い子だった。
俺とカカシさんは大名屋敷での任務を思い出しながら話し続けた。









 



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