※カカイル短編※ 

□可愛い人
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あ〜疲れた。

今日はアカデミー勤務が終わるや否や
直ぐに受付に座り営業スマイルで判子を押しまくり(勿論チェック済み)
帰れる時間が迫った頃、見計らったように五代目に呼び出され書類の整理を手伝わされ

「ねぇ 駄目〜?」

それが結構時間がかかり、シズネさんも五代目を遠回しに窘(たしな)めていた。

「せんせ〜入っていいでしょう〜?」

…俺は、そんな忙しかった今日1日の疲れを取るため、今 風呂に入っている。

「もう服脱ぎましたからね。入らないと風邪ひいちゃう。」

さっきから脱衣所で、わあわあ喚いているのは
俺の疲れを知ってか知らずか、とにかく一緒に風呂に入りたがってる俺の恋人カカシさんだ。

「せんせ寝てんの?湯船の中で寝ちゃ危ないよ?」

声は既に浴室内の湯船の近くから聞こえた。

「…勝手に入らんでください。俺が入浴中です。」

目を閉じたまま言った。俺はホント疲れてんだ。

「うん。でも一緒に入りたかったんです。」

そう言いカカシさんは、そのスラリとした片足を湯船に入れようとした。が、俺はその足首をガシッと掴んで侵入を阻止した。

色も白いが、俺よりスネ毛が少ない(と言うより殆ど無いかも)
掴んだ片足をジッと見ていると、少し驚き固まっていたカカシさんがニヤッとした。

「…なに?…イルカ先生…脚フェチ?」

その言葉に俺はフッと鼻で笑った。

「どうせ見るなら女の子の足のほうがいいですよ。それより、いつも言ってるでしょう?湯船に入る前には、かけ湯してアソコくらい洗ってから入れって。」

言いながら足首を掴んでいた手を離すと、カカシさんは おとなしく風呂椅子に座った。
そうして、のらりくらりと言われた事を済ますと静かに俺の背後から入り俺の体を壊れ物のように、そうっと抱きしめる。
いつも一緒に入る時の体勢だ。俺も、そうっとカカシさんに寄り添う。
  
「駄目だから。」

不意に言われて何の事かと振り向こうとしたら、ギュウッと抱きしめられた。

「…やっぱり…女の子の方がいい?」

自信なさげなカカシさんの声が俺の後ろ…首筋あたりから聞こえた。
ああ…さっきの足の話で…
こと相手が女の子になると自信なくして、すぐにイジケるんだ、この人は。
て言うか、わかってないよな。モテる貴方の方が、よっぽど心配だってぇの。
俺と付き合ってるの知っててカカシさんにアプローチしてくる子結構いるじゃないですか。
俺が横に立っていても構わずに…いや、俺と言う存在が無いかのようにカカシさんに手紙渡して行く子だっているくらいだ。
しかも、カカシさんに釣り合うだけの容姿をした人が殆んど…

「イルカ先生?なに?何考え込んじゃってるの?!…え…?え?」

俺が返事もせずに黙っていたからカカシさんが焦りだした。
馬鹿だなぁ…今は俺の方が若干へこんでますっての。
自分から質問しておいて、これだ。カカシさんて可愛い。

「変な心配しなくていいですよ。俺にはカカシさんだけです。」

ニカッと笑い彼を見ると、心配気に眉を八の字にしていた。
可愛い。

ビンゴブックに載る程の人なのに、俺は彼に凄く庇護欲を掻き立てられる事が有る。
俺より彼の方が比べ物にならないほど強いし頭も良いし容姿もいいけれど
なんて言うか…その…
大丈夫だよ。俺が側にいるよ。って抱きしめたくなる程に幼く感じる事が有る。
それは俺が教師だからだろうか?とも考えてみたが、どうだろう。

  「可愛い…」

一瞬自分の声が外に漏れたのかと思った。

が、そう口に出して言ったのはカカシさんだった。

「でも残念ながら、その可愛い笑顔は俺だけのものじゃないんですよねぇ…」

ため息を吐きながら、俺の背中に頬を寄せる。

「受付の花だもんなぁ…」

そう言い また溜め息をつく。
そうして 誰にも渡したくないと、俺を抱きしめる腕に力を込める。


カカシさん
俺から見たら、そんな貴方の方が俺なんかより数倍可愛いと思いますよ。

そんな俺の気持ちは口に出さず、抱きしめる彼の腕に そっと口づけをした。




※あぁ…温泉に行きたい。そんな私が書いた、お初カカイルでした(笑)



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