※カカイル短編※ 

□貴方の傍に
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「…ねえ。先生。」

情事の後
息も整った頃に、仰向けで天井を見たままカカシが

「先生は、俺と別れる時が来たら泣くんだろうか。」

と、唐突に聞いてきた。


「……先生?」

返事が無いので、右横を見る。

愛しの君は、うつ伏せに寝そべったまま
顔を此方に、どんぐりまなこでカカシを凝視していた。

「聞いてました?」
「…別れる…って…。」
「あ!やだなぁ!付き合ってる間に、じゃないよ?俺が死んだらって話。」

勘違いしているであろうイルカにアハハと笑ってみせたら、バフッと顔面に枕を投げつけられた。

「…っ…せんせ…。」
「そんな話は聞きたくないし、したくないっ!!」

プイッと むくれて顔を反対側に向けてしまった。

そんなイルカが可愛くて、抱きしめたくなり手を伸ばせば
肩に触れた時点で、ピシャリと叩き落とされ「触るな!!」とまで言われた。
どうやら、すっかりヘソを曲げてしまったようだ。

「いいよ。聞いていなくても。…でも、考えてみたいんだ。」
「…………。」
「俺が死んだら 先生は泣くんだろうか、とか。でも すぐに立ち直ってくれるだろうかとか。」

カカシは、押し黙っているイルカにお構いなしに話し続けた。


「案外泣きもせず暫く暗い顔してるだけかなとか。ハハ…」
「…くだらない…」

カカシは背中を見せたままの恋人を、優しく見つめた。

「俺の事は忘れないで欲しいけど、新しい家族を持ってもいいよ。あ!男はダメッ。」
「……………。」
「ちゃんと女性と結婚してさ、可愛い子供を作るといいよ。できれば男の子にはカカシって名を付けて欲しいなぁ。」

イルカは眠ってはいない。気配でわかる。
話は聞こえているだろうが、ピクリとも動かなかった。

「…命日だけでいいから墓参りはして欲しいな。花も何も要りません。貴方だけでいい。」

カカシは手を伸ばし、イルカの黒髪を指で梳きながら話し続ける。

「あのさ。もし…もしも先生が先に…って事が有ったら…」

髪に触れる指の動きを止め、カカシが考え込むように口を閉じてしまった。

すると 業を煮やしたわけではないが、今度はイルカが話し始めた。

「俺が死んだら、カカシさんも家族を持ってください。カカシさんの血を継ぐ子を作ってください。」
「イルカ先生!?」

イルカが、くるりと此方を見た。

「カカシさんの子を…」
「 無理。 」 「 は? 」
「無理に決まってるでしょ。俺はイルカ先生以外に家族なんていらない。」
「何言って…」

「好きでもない女と ヤるのは構わないけど、子供作って家庭を…だなんて。御意見番みたいな事 言わないでくださいっ。」

ぷぅっと口を尖らせたカカシにイルカは呆れた。

「カカシさんも俺に家族作れって言っ‥」
「先生は いいの!寂しがり屋さんだし、子供好きだし!」
「‥なんだそれ。勝手だなぁ。」

カカシは呆れるイルカの手を取り、そっと指に口づけをすると

「理想は共白髪ですけどね。」

と、へにゃりと笑った。

「それでしたらカカシさん。2人で70歳、80歳まで頑張って生きましょうよ。」
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