※カカイル短編※ 

□貴方のお役に立ちたいの
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カカシには、密かに恋する人が居る。

それはそれは 可愛くて、春の日差しの様に温かな人。
そして、まるで天から舞い降りた天使のような…

「くぉらぁーーっ!!」

そう、あそこで怒りに顔を赤くして生徒に向かって怒号してる人…

『 って、イルカ先生ったら 天使から可愛い赤鬼ちゃんに成っている。』

ウフ とか語尾にハートマークを付けながら
今日も目にフィルターを付けて、その愛するイルカ先生をウォッチングしているカカシであった。


或る日 大量の巻物や書類を、両手いっぱいに抱えて歩いているイルカに出会った。

「イルカ先生!大丈夫?少し持ちますよ。」

カカシは、そっと巻物などをイルカの腕の中から抜き取った。

「すみませんカカシさん。上忍の貴方に手伝って頂くなんて…。でも助かりました。」

ありがとうございます と小首を傾けニコッと笑ったイルカに
カカシは鼻血が噴き出すのでは!?と懸念するほど内心興奮した。
もちろん腐っても上忍。そんな気持ちは これっぽっちも顔には出していない。
至って冷静。常にイルカの前では“クールな はたけカカシ”で居ることを心がけているのだ。


荷物を資料室へ運び終わった時


「たいへん助かりました。ありがとうございましたカカシさん。」

と 可愛く御礼を言うイルカを見て、カカシは適当な事を言った。

「いえいえ。ただいま“下忍・中忍を労おう週間”です。と、言っても俺だけの話ですが。」
「カカシさんだけの?何故またそのような…。」

カカシは、エヘヘと笑い

「下忍・中忍の働きが有っての、俺達上忍なんですから。先生だって学校で忍のタマゴを育ててくれているし…。」
「そんな…。」
「とにかく俺は貴方のお役に立ちたいのです。」
「?俺のですか?…て、あ!あはは 違いますよね。中忍のって意味ですよね!」

やだなぁ俺って と照れ笑いするイルカを、そのまま押し倒したくなる衝動を抑えて
カカシも「ハハハ」と笑い

『いやいや まじイルカ先生限定なんですけど。』

と心の中で呟いた。


「これから受付ですか?」
「あ、いえ。今日は もうこれで終わりです。珍しく早く帰れるんですよ。」

チャンス!やったね!

「じゃ、一緒に飯でも食いに行きませんか?俺に奢らせてください。」
「え!カカシさんと!?い‥いいんですか?」
「(か〜わいい)勿論ですよ。なんたって“労おう週間”です。是非ご馳走させてください。何が食べたい?遠慮しないでね。」


カカシは思わず舞い込んだ幸せに、顔が緩みきっていたし

『何処か個室の有る、いい雰囲気の店って有ったかしら?』

ウキウキワクワクと里内の料亭を頭の中で検索もしていた。





「へいっ!味噌チャーシュー大盛!チャーシュー10枚乗せね!」
「待ってました!わあ〜スゲェ!‥カカシさん!頂きます!」
「 …はい。 どうぞ。」

カウンターでイルカが美味しそうにラーメンをすする。

「幸せ〜。あれ?カカシさん食べないんですか?」
「 あ、いえ。いただきます。」


カカシはガッカリしていた。
せっかくイルカと個室で二人きり、親交を深めれるかと思ったのに。

「イルカ‥先生?ホントに此処で良かったの?他に食べたい物無かったの?」
「え?はい。1度チャーシュー10枚乗せを食べてみたかったんです!」
「でも‥他に、肉とかフグとか鰻とか‥。」

カカシが そう言うとイルカは すすりかけの麺を口から垂らしたまま固まって此方を見た。
そしてチュルンと口に吸い込むと

「…しまった…そう言う選択も有りましたよね…。食べたい物=チャーシュー10枚乗せしか頭に浮かんで来なかった…。」

と、残念そうに眉を寄せていた。

 
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