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□告白
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俺は忍者学校で教師をしている。
たまに受付にも座り、火影様の雑務もこなす。
忙しい身である割には、薄給だ。
だからと言って手当ての良い戦忍に戻ろうと思う程ではない。
最近は高給取りの上忍に懇意にしてもらっており
「俺が奢ります。奢らせてください。俺が誘ったんだから。」
と 毎度必死に言われ、御言葉に甘えて御馳走になり夕食代を浮かせたりしている始末だ。
勿論それが当たり前のような顔はしていない。
「お待たせしました。」
今夜も食事に誘われていた。
いつもの待ち合わせ場所で本を開き佇む彼に駆け寄った。
「お疲れ様。お腹すいたでしょう?イルカ先生。」
顔で唯一見えてる右目が弓なりになり微笑んでいる事がわかる。
彼の名は「はたけカカシ」
里が誇る里一番の戦忍だ。
そんな彼とは教え子を介して知り合った。
今や俺の生徒だった子供達も、彼の部下となっている。
そして、その子供達のアカデミー時代の様子を聞かせてくださいと、飲みに誘われたのが始まりで今では時間さえ合えば一緒に居酒屋や定食屋へ行き、飲み食いして帰るようになったのだ。
しかし気になるのは勘定の事。
毎度毎度、俺には一銭も払わせてくれない。
食費が浮くのは助かるが、少し心苦しくなってきてるのは確かだ。
何の気紛れで中忍の俺なんかを誘うのか聞いてみた事も有る。
「先生と話してると楽しくて。」「美味しそうに何でも食べてくれるから、見ていて気持ちいいし嬉しい。」らしい。
たまに「先生って可愛いよね。」と笑われる。
笑われると言っても、馬鹿にした笑いではなく…その…
それこそ可愛らしい女の子を見ながら言うように、目を細めて相手を愛でるような眼差しで心から語りかけるように
俺に向かって「可愛い」と言うのだ。
「今日は、ここ予約しておきました。」
そう言い彼が足を止めたのは、里でも一番の高級料亭だった。
「え!?俺 今日こそは割り勘って思ってたのにっ!!」
「駄目だよ先生。いつも言ってるでしょ。俺がイルカ先生と食べたくて誘ってんだからって。さぁ、入りますよ。こういう店の前で立ち止まってちゃ格好悪いですよ。」
そう言い俺の背中を押しながら「ほんとに先生ったら可愛いんだから。」と早速クスクス笑われた。
座敷に通された俺はキョロキョロと部屋を見渡して『こんな個室で食事が喉に通るかな』と変な心配をした。
座布団だって同僚と行く居酒屋の、いつ洗ったか分からないような煎餅座布団とは違う。
座って潰してもいいんですか!?って程に、ふかふか膨らんでいる。
「イルカ先生、落ち着かない?」
カカシさんが心配そうに聞いてきた。
「いえ、あははっ。こんな高級な店って初めてだからっ。すみません‥キョロキョロしちゃって…。」
顔が赤くなるのがわかった。まあ いいか。
「これもいい経験です!!明日みんなに自慢します!!」
「え〜?お忍びって感じで来たのにぃ。」
口布と額あてを外しながら、眉を八の字に下げてカカシさんがクスクス笑った。
「イルカ先生も楽にして。足崩して座りなさいね。」
テーブルを挟んで座ると、早速酒が運ばれてきた。
「料理はね、美味しい物を適当にって言ってあります。何か食べたい物が有ったら遠慮なく言ってね。」
そうは言われたものの酒を飲み始め料理を口にすれば、どれを食べても文句の付けようがないくらい美味しかった。
「カカシさん!これも美味しいですよ!!酒に良くあうなぁ。」
「そ?良かった…。」
「ま〜た、酒ばかり飲んで!カカシさんも少しは食べなきゃ。」
「うん。でも、先生見てるだけでお腹いっぱいになっちゃって。」
あははと軽く笑い俺を見る。