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□我も恋う〜ワレモコウ〜B
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イルカは考えた。

『俺が はたけ上忍の傍に居るからって、虫除けになるのか?』

まず上忍様が自ら女を連れてきて「邪魔だから帰れ。」なんて言われた日にゃあ、なすすべも無いのでは!?

朝風以外の女を連れ込むなんて!とでも抗議すれば良いのだろうか?

1年も離れてるんだ。
モテる上忍にしてみたら、操守っているのも馬鹿らしいかも…

いろいろ考えは巡るものの、任された任務は(身辺警護なのでCランク扱い!)遂行しなければ。

実は この住み慣れた我が家とは別に、朝風が用意してくれた“花”の為の部屋が有る。

しばらくは、そちらの部屋をメインに使う事となるのだ。

家具付きらしいので、着替え等の荷物は追い追い運ぶとして…

イルカは女体変化して、自宅をあとにした。


***


カカシは惰眠を貪り中である。

早朝 慰霊碑へ足を運び、部屋に戻るなり再びベッドへ身を沈めている。

部屋の掃除や本棚の整理もしたかったが、もういい。
あとで目覚めた時に影分身で、ちゃっちゃとやってしまおう。

そう思いつつ布団に潜り込んで、かれこれ数時間。

太陽も真上に来た頃。
玄関からピンポーンと…

『…誰。俺は居ませんよ〜…。』

気配を消し、居留守を決め込む。

もう一度鳴ったが無視を続けた。

と、今度は頭上の窓からコンコンッと硝子を叩く音が…

「はたけ上忍。居ますよね?おはようございます!」


だろうと思ってはいたが、“花”とか言う子の声だった。

「え〜と…昼ですよ?何か作りましょうか?」
「……。」

そう言われると、腹がすいてる気もする。
しかし まともな食材が有るわけでもなし、作って貰うとしても戸棚にあるカップ麺が関の山。

「あの〜…。」

不安気な声を最後に花の気配が窓の外から消えた。

『…帰ったか?』

可哀想だが、そう易々と部屋に入れる気は無い。
昼食の件に関しては、少し心が揺らいだが。

カカシは起きあがると、カーテンの隙間から外を見て、花が居ないのを確認し
カーテンと窓を開け放して空気の入れ換えをした。

もう直ぐ春とは言え、まだ3月。窓を開け放していると少し肌寒ささえ感じた。


『う〜ん。空気の入れ換えも出来たし…。』

暫く窓を開け放した後ノースリーブのアンダーから出ている両腕を抱くように摩りながら窓に近寄った。

と、同時に行きなり真下から花が飛び上がって来て

「 !ぎゃーーーっ!!」

と 驚きの声をあげ、また下へと落下していった。

『 ! 』

驚いたのは此方もだが、ここは5階。
カカシは直ぐさま落ちていく花を見て自分も身を落とし、なんとか彼女の身を抱え着地した。

「忍者のくせに目を回して気絶って…。」

そっと芝の上に花を横たわせ、ププッと笑っていると

花がパチッと目を開けた。

「ククク…。だ、大丈夫?」

何故 自分が笑われているのかが分かったイルカは顔を真っ赤にして無言で起き上がった。

「ねえ、あんた忍者だよね?しかも中忍以上の…プッ…クク…」

はい はい。 俺は中忍ですっ。貴方のようなエリートとは違いますっ!!

と言いたいところだが、花であるイルカはムッとしたまま無言でいた。

「で、なんで玄関から来なかったわけ?」

そう問い掛けながら彼女を見ると、両手に白いビニール袋をぶら下げている。

「何か買ってきたの?」
「…もしかして冷蔵庫が空なのではと思って…。」

膨れっ面のまま不機嫌そうに話す花に近寄り、袋の中を見せて貰った。

「 何? これ。」

中には更に白い紙袋に包まれた物が。

「 肉まんです。」

肉まんのような、ふてくされた顔をして言った花が可笑しくて
(昼御飯に肉まんかぁ!)
と、カカシは盛大に笑った。

「にく…肉まんて!ハハハ!」

イルカは少し悲しくなってきた。
この店の肉まんは大きくて美味しいのに。
それに…チャクラ溜めて壁を蹴りながら跳躍したまでは格好良かったのに…

「気配を読みとれずに驚いた事」「尚且つ落下してしまった事」「しかも一瞬気絶していた事」

それらを振り返り、不甲斐ない自分に腹が立ち、物悲しくなった。

しかもオマケに、男にお姫様抱っこされてしまった。
いや、自分は今 女体化してはいるけれど…。

悶々としているような花を見て、カカシは笑うのを止め声をかけた。

「ごめん ごめん。笑いすぎたかな?…肉まん、いいね。お腹もすいてきたし食べるかな。」

イルカはハッと顔を上げ、すまなそうに笑みを浮かべるカカシを見る。

俺は何をやっているのだ。
自分の失態は笑われて当然の事。

「すみません。助けて頂き、ありがとうございました。」
「うん。大丈夫?」
「はい。」

不思議と憎めない子だと、その笑顔を見てカカシは思った。

「…花の分も有る?部屋で一緒に食べようか。随分と大量に買って来たようだけど…あ!幾らなの?俺が払うよ。」
「あの、忍犬達にもと思って。」
「…え、あいつらの?う〜ん…。」

困り顔したカカシは、取りあえず部屋に行こうと、促すように花の背中に手の平を押し当てた。

『なるほど!なんて自然な流れで部屋に誘い込むんだ!さすが写輪眼のカカシ!』

背中に押し当てられた手のひらは、とても優しく暖かい。

『…待てよ?俺大丈夫か?喰われないよね‥。』
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