∴季節物・誕生日∴

□2015年 イル誕
1ページ/3ページ




俺「うみのイルカ」の誕生日は
ここ数年は教え子のナルトも一緒に祝ってくれていたから
寿司を取ったりホールケーキ買って食べたりと、二人ながらも賑やかに過ごしてきた。

ナルトは「泊まって良いだろ?先生。」と
お腹がいっぱいで眠くなってきたのを理由に必ず泊まる。

一度「お前、そんなに俺と寝たいのかぁ?甘えん坊め!」と、からかった事が有る
すると生意気にも「先生が寂しいだろうから一緒に寝てやるんだってばよ!」と
逆に俺に愛の手を差し伸べたような事を言ってきたから
可笑しくもあり嬉しくもあり… こいつも成長したなぁなんて思ったものだった。


それが 今年はナルトがいない。
ナルトは、あの伝説の三忍の御一人である自来也様に付いて修行の旅に出てしまったのだ。

「今年から暫くは、またひとりで誕生日を迎えるのかぁ…。」

なんてさ 寂しくもあったが、実は俺には一人だからこそやりたい事が有った。
それは何かと言うと… ケーキのホール食い!!

いつもはナルトと半分ずつにしていたが

『あれ?俺って半分どころか、ホール丸々ひとつ食べられるんじゃね?』

なんて、昨年の誕生日からイケそうな気がしてならなかったのだ。

じゃあ誕生日じゃなくても、普段に買って食べればいいじゃないか!
なんて思われても困る。
結構俺は拘る方だ。
ホールケーキ挑戦は誕生日ケーキじゃないと駄目なのだ!
誕生日に食べるから誕生日ケーキなのだ!

ナルト お前には悪いが、お前の留守中に先生は目的を果たすべく
ホールケーキを一人で食べてみようと思う。


「すみません。これ、この苺が端に乗ったホールケーキください。」

それは何とも上品な
装飾のように飾られた、うねる生クリームの山など付いてはおらず
シンプルに円形を綺麗に残して、うっすら粉砂糖が雪のように降りかかっていて
イビツな形の見慣れない小さな苺が端(よりは真ん中寄り)に、ちょこんと置かれてある
とても美しくて美味しそうなホールケーキであった。

「これですね?ふふふイルカ先生たら。」
「何ですか?」
「これ、苺ではありませんよ?これはラズベリーと言います。」
「ラ…ラズ… いいんですなんだって!美味けりゃいいんです!!」

うはぁー 俺 顔赤い?赤くなってる?
何だっていいんだよっ!夢のホール食いすんだからさ!

俺はケーキ屋の大きい箱を持ってワクワクとしながら家に帰った。
今日の夕飯はケーキだ。きっと他の物を口にしては目的が…
ホールケーキをひとつ完食する事が出来なくなるかもしれない。

丸い卓袱台に丸くて大きなホールケーキ。
美しくて美味しそうな、なんちゃらベリーが乗ったホールケーキだ。
誰にも邪魔されずに俺一人で食うホールケーキだ。

「赤ワインで良かった?」
「………お構い……なく………」

なのに 何故ここにカカシさんがいらっしゃるのか?
何故 ピンポーン なんて玄関からの軽快な音で現れたのか。

このホールケーキは俺一人で食う為に買ってきたもの。
大きいが二人分ではない。一人分なのだ。
俺の夢のホール食い用デラックスなんちゃらベリー乗せスペシャルホールケーキなのだ。

「ケーキに蝋燭無いんですか?」
「いえ…あの」
「あ!あそこに有るじゃない!」

はい、それ仏壇用〜。 父ちゃんと母ちゃん用〜。

おいおいおいおい

「やめてください!カカシさん!」

俺はケーキに白い蝋燭を刺そうとする
腹のたつ上忍師の手を止めた。



 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ