※カカイル短編2※

□イヤリング
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イジケて立ち尽くす俺に「早く着替えてください。鍋温めますからね。」と言い聞かせ
汚れ物は、脱ぎっぱなしにしないで ちゃんと洗濯機に入れといてください。と 釘までさして台所へ消えた。

『 わかりましたよーだ。 』

着替えるべく再び寝室へと向かう

『先にサッとシャワー浴びて…』

チラリとベッドを見てニヤケてしまう俺。

先生は少し飲みすぎ程度が艶っぽいから…

早くも食事を通り越した先を想像する。

『 う〜〜早く先生ぇ抱きたいっ!! 』

独りでウハウハしながら着替えていると

「 ん? 」

何かベッドの下で光った。

「うん?…なにこれ。」

手に取った小さい物は 白い花型のイヤリング。

途端に俺の血の気が引いた。

なにこれ。 どう見ても女物じゃない。

しかも 他の人間より異常に鼻が利く俺には、微かに女の匂いが このイヤリングに残っているのが分かった。

カクンと 俺は膝をついて、指で摘んでいるイヤリングをマジマジと見る。


 え? どういう事!? 何? 女がこの部屋に入ったの?

頭の中で考えたくもない事が、ぐるぐると駆け巡っていた。


「 カカシさん?風呂先にします?…どうしました?」
「 !! あ、いやっ、はは…。ちょっと疲れがドッと来て…。 」


なに?なんで俺笑ってんの?
なんでイヤリング隠しちゃうの?

「大丈夫ですか?ご飯食べてサッサと寝た方がいいかな…。」
「 あ…いえっ。ササッとシャワー浴びて、鍋食べちゃいましょう!!」
「 カカシさん?」

俺は立ち上がり、イルカ先生の横をすり抜け風呂場へ直行した。

『 怖くて聞けない…。』

そう、怖くて聞けないのだ。
ビンゴブックにも名を連ねてる俺なのに、こんな小さな物ひとつに酷く心を痛めている。
イルカ先生が 俺の留守中に何をしていたのか…この部屋に誰か来たのではと思うと…

 バチィッ! と音がして

それが自分の手からだと直ぐに気づいて手の平を広げて見る。

「 ……。 」

握っていたイヤリングが黒くなって粉砕していた。

 ふ… と口元だけに笑みを浮かべ黙って立っているとイルカ先生が飛んできた。

「カカシさん!?今の音は…。」


イルカ先生は 俺を見るなり言葉を一瞬つまらせた。

「…カカシさん?何かあったんですか?」

そう言って 俺に近寄り 持っていた布巾で俺の目から頬にかけてを、そっと拭いた。

情け無い事に、どうやら俺は涙を流していたらしい。
だって…だって先生が。 イヤリングが。
ベッドの下に。

「 ! カ…カカシさん!? ちょっと何を!? 」

彼を担いで寝室へ向かう

「カカシさん!?待ってください、何を…」

ベッドの上に彼を放り、着替えたばかりの服を脱ぎ捨て
ギシッとベッドを軋らせ彼に伸しかかった。

「 カカシさん!? 」

何がなんだか分からないと言う顔で イルカ先生は俺を見上げる。

「 ……ご飯…食べないんですか?」

ご飯て何。 俺にはイルカ先生だけ居てくれればいい。

誰にも渡さないし、誰にも触れさせたくないし

誰にも触れて欲しくないんだ。 この俺以外。

「 カカシさん…鍋煮詰まっちゃうんで…」

卓上コンロの火がどうの言っている

「わかった。」

彼から離れると

「あれ?カカシさん、ここに有ったイヤリング知りません?」
「 ………え?」

イルカ先生は「変だなぁ…。」と、枕元を探しているようだ。

「忘年会の余興で男三人でアイドルの格好して歌うんですけどね。」

ハハハ…と軽く笑いながら尚も探す

「すずめ先生が“あずきちゃんが付けているのと似たようなイヤリング有るわよ”って貸してくれて。」

あずきちゃん知ってます?メンバーで一番可愛いんですよ。

俺あずきちゃん役なんです。

あれー?困ったな‥。
高かったから紛失しないよう言われてんのに。


「 あれ?カカシさん?」

ムクリと起き上がり、おもむろに服を着た俺は

「 ……やっぱりお腹すきました…。」

と フラフラと居間に向かった。


あれー?あれー?布団の上に置いた俺も俺だが… あれー?

バサバサと、シーツを捲る音がしている。


「うおー!!なんでぇぇ!?なんで無いんだー!!」
「 ………。 」


だんだん焦り始めたイルカ先生に
今度は どう言い訳しようか悩む俺だった。






 
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