※カカイル短編2※

□カカシ君のイルカな日々・番外編
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「あそこのお茶屋の娘さんがねぇ、今度他里での勤務を終えて帰って来るそうなんだけど…。」
「おばさん!これっ!茄子にシメジにズッキーニ!」

イルカとおばさんの間に割って入り両手に持った野菜を高く掲げた。

「あらあら こんなに!?ありがとねぇ。」

カカシから野菜を受け取り、袋に詰めてくれたが

「で、どう?先生 会ってみる気無いかねぇ?」
「はいっ!お金!お釣り早くしてくださいっ!」
「あらあら はいはい。」

「あれ?カカシいつの間に俺の財布…。」
「ごめんなさい。でも先生トロいから。早くしなきゃ話がいつまでも終わらないから。」
「トロいって!?お前なぁ…」

そこへ店主が釣り銭を持って戻ってくる

「先生、お待たせ。三十円のお返し…」
「確かに。」

釣り銭はカカシがサッサと受け取り
イルカの体をグイグイ店の外まで出して 手を取り歩き出した。

「おいおいカカシ。どこまで行くんだ?肉買わないと無いぞ?」
「肉なんて要らないっ。」
「え?ええ〜?」


だって肉屋は あのおばさんの八百屋のすぐ隣。
また何を話しかけられるか分かったもんじゃない。

「野菜だけのカレーでいいっ!」
「そんなぁ〜。」

カカシにグイグイと手を引っ張られ、イルカは商店街から離れてしまった。


『油断も隙もありゃしない。』


店に顔を出すたび「先生も早くお嫁さん貰いなさいな。」と声かけてくる
先生自身は「カカシ、あれは挨拶みたいなものなんだよ。笑って返せばいいのさ。」と、気にしちゃいないふうだが

『あんなの迂闊に生半可な返事で返したものなら、見合いの一席でも作られちゃうよ。』

危ないったらありゃしない。

「 ……。」

いや 別に彼の幸せを取り上げるつもりは無い
ただ 彼の結婚は 彼自身のタイミングで…

『 … ま 結婚して欲しくないけどね。 』

キュッとイルカの手を握る
ん?とイルカもカカシを見てギュッと握り返してくれた。

いつまでも子供の姿で居るわけにはいかないが
大人に戻ったあとに、イルカと懇意になれるかどうかは定かではないので
今 この時の幸福感を充分に味わっておこう

そうカカシは思い
再びイルカの手を強く握りしめた







 
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