※カカイル短編2※

□ひと目会ったその日から・前編
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『甘栗甘か…。甘い物好きですーって顔してるかも。』

手渡された写真を片手でピラピラ靡かせながら
そんなに気乗りもしていない自分に苦笑いを浮かべた。





翌日

アカデミーの職員室で「どうしよ、どうしよ…」と困っている教師が居た。
彼女は時計を見ながら何かの時間が迫ってきてる事を気にしていた。

「もみじ先生 どうしました?」
「あ‥イルカ先生。はい‥実は人と会う約束をしているのですが…。」

生徒の保護者との面談が、今日 今からと言うことになったようだ。

「困ったわ。保護者の方が今日しか都合が付かないみたいで…。」
「待ち合わせの方とも大事な話が?」
「いえ‥あの…はい…まあ…。」
「 ? 」

もじもじする彼女が言うには、上忍の方から男性を紹介して貰ったようで

「まだ誰にも言わないでくださいね。実は はたけカカシ上忍なんです。」

はたけカカシと言えば“写輪眼のカカシ”千の術をコピーしたと言われるエリート中のエリート上忍。

「凄いですね!玉の輿ですね!俺は一度遠目からしか見た事のない方です!!」
「私には勿体ないお話なんですけど、是非お会いしたいし…。」

時計の針は進む一方


「もみじ先生 俺もう仕事終わったんで、良ければ遅くなる事を伝えてきましょうか?」
「え!?いいんですか。でも待ってて頂けるかしら。失礼じゃないかしら…。」

「この俺が上手いこと待たせておきますよ!!」イルカはニシシ…と笑うと
頭を下げて感謝する 彼女から待ち合わせの場所を聞き

「甘栗甘に男二人で…てのもなぁ。酒酒屋が開店まもないと思うので、そっちに行きます!」

と提案し、張り切って職員室を出て行った。


『もみじ先生が‥あの写輪眼のカカシさんとねぇ…。』

実は ちょっぴり もみじ先生が気になっていただけに
イルカとしては寂しいような残念なような気もしたが

『もみじ先生が幸せになってくれるなら…。』

それが一番だと心底思った。



一方 甘栗甘の前には、約束の時刻の十分後に着いたカカシが居た。

「…あれ?来てないじゃない。店内にも居ないみたいだし。」

仕事が立て込んでいるのか、はたまた見かけに寄らず時間にルーズな人なのか…

アカデミーの有る方向を見ていると

「あの…カカシさん‥ですよね?」

反対方向から声をかけられた。

「 ? 」

そうして振り向くと一人の男が立っていたのだが…


「あの…申し訳ありませんが、もみじ先生は外せない用が出来まして」
「 ………。 」

なんだろう?何なんだろう?何?何?
カカシの脳に衝撃が走る。 言わばビビビッ!と来たのである。

「え‥と、あの…?」

イルカは少し焦った。
カカシが黙って此方を見たまま動かない。
待ち合わせたのは可愛い女性のはずなのに
こんなムサい男が来たから驚きすぎたのだろうか?


『なに この人!え!?こんな人が この里に居たの!?か…可愛いんですけどっ!!』

まさか自分が男性に心惹かれるとは思ってもみなかった。
特に美青年ってわけではないのに、彼の笑顔に一目で恋に落ちてしまった。

『運命すら感じる。』

「 え〜とぉ…あのぉ…カカシさん?」

カカシは ただただイルカを見つめ、次第に頬も染まり

『む…胸がムネムネ…じゃない、ドキドキしてきたっ。』

何故だか呼吸も心なしか荒くなってきたような…

「すみません。もみじ先生は遅れて来ますので…あの、酒酒屋に席を予約してきましたので 」

そちらへ行きませんか?と小首を傾げ、カカシの顔を覗くと

ハヒーッ!と、息も荒く顔を赤くしてコクコクと頷いた。

『…大丈夫か この人? 』


一抹の不安を抱えつつも、何故だかポーッとしているような上忍を連れ
新たな待ち合わせ場所「酒酒屋」へと向かうイルカであった。





中編へ続く


 
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