※カカイル短編2※

□ひと目会ったその日から・中編
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そう思うと微笑ましくなり
「うふふ」と 意味不明な笑いを漏らすイルカだったが…

『では俺は何処に座れば?…まさか?』

「先生は ここっ。」

見るとカカシが自分の隣を手で叩いて示してる

「はあ‥。では失礼して…」

ちょこんとカカシの横に座った。 が

「イルカ先生 お尻半分しか座っていないでしょう?遠慮せずに もっと此方へ来てください。」

カカシの腕がイルカの肩を抱き寄せた

「あ、すみませんっ。お気遣いなくっ。」
「いえいえ。…うふふ。」

何故だか楽しげなカカシ上忍
そうか。お目当ての彼女も来たし、御機嫌になってきたのかな。

『 て…あれ?』

彼は いつまで肩に手を置いているのか?
イルカの右肩には、未だシッカリとカカシの手が…

そんなイルカにお構いなしに、カカシは気さくに向かい側の もみじに声を掛けていた

「ビールでも頼みます?それともチューハイがいいかな。」

お腹もすいたでしょうから好きなもの頼んでくださいね

イルカもチラリと もみじを見たが、彼女も綺麗で高名な上忍を前に あがっているらしく

「 は はい。」

と、ろくに前も見ず返事をしていた

『てか、カカシさん‥この手 忘れてますよ〜。いつまで俺の肩に…』


その時カカシが「すみません!チューハイひとつね!」と店員を呼ぶために手を挙げた。

イルカの肩を抱いていない方の空いてる手を

『あれ?カカシさん…わかって…』

いや待てよ。 そうか!実は彼も緊張しているのかも!

もみじ先生の可愛さに、結構ドギマギしてるのかも!?

『ふふふ。可愛いとこ有るなぁカカシさんて。』

「カカシさん。」

イルカは小声でカカシに伝えた

「俺の肩抱いちゃってどうするんですかっ。ふふふ。」

するとカカシは あまり驚きもせず

「あ、そうですよね。ハハハ…すみません。早まりました。」

イルカの肩から外した手を そのまま自分の後頭部へ持って行った。

ほどなくチューハイも運ばれ、三人で改めて乾杯をしたが
もみじは顔を赤くしたまま まだモジモジ状態だ。

『大丈夫かなぁ…もみじ先生。』

「もみじ先生、この刺身 美味いですよ。ほら、酢の物も。」
「は‥はいっ。」

もみじに気を使う横でカカシは何をしているかと言うとメニューと睨めっこだ。

「う〜ん…あ、ほら。イルカ先生 この酒美味いんですよ。飲みませんか?」
「え?あ、そんな高いの…。」
「俺が払いますから。ね?ね?飲みましょう。」


どうしたものか
カカシも、もみじも あまりお互いを見ようともしていない。

『二人とも意識し過ぎちゃってるのかなぁ…。』

カカシに至っては、照れくさくて もみじに声を掛けられないのか
イルカばかりを構ってくる。


駄目だ。 このままじゃ。


イルカはガタンと椅子を鳴らして立ち上がった。

「カカシさん、今度の日曜あいてますか?任務入っていませんか?」
「へ?え‥と。まだ分かりませんが…先生が休めと言うなら…」

もみじもキョトンとイルカを見ていた。

「もし御時間が有りましたら、木の葉南公園でデートしませんか?もみじ先生と。」

もみじは急な事に驚き「イ‥イルカ先生っ」と更に真っ赤に染まり
カカシは…先ほどまでの楽しげな顔とは打って変わって眉間に皺を寄せていた

『差し出がましいだろうが、二人の為だ。このくらいの約束させとかなきゃ。』

「あのさ…それってイルカ先生も来ますよね?」
「 へっ?やだなぁカカシさん、デートですよデート。俺なんか居たら…。」
「来てください。俺、女性とは慣れるまで上手く話も出来ません。」

嘘だろ… と、思ったのはイルカだけではないはずだが


『本当に好きになりそうな相手には、案外奥手なのかもしれないな…。』

イルカが そう思った時

「私からも御願いします。イルカ先生が居てくださると私もカカシさんと‥その‥お話しやすいかも…。」

と、もみじまで相変わらずモジモジしたまま御願いしてきた。

「なんなんでしょうねぇ、二人とも。」

仕方ないなぁ…と、言いつつも「今回だけですよ?」と承諾した。

「じゃあ、俺はこれで帰ります。仕事が残っているのを思い出したし。」
「え?あ、イルカ先生!」
「お勘定は後で教えてください。じゃっ!」


カカシの声は聞こえなかったふりをして、イルカは急いで店を出て行った。

「 ………。 」
「 ………。 」

あとに残された二人に沈黙が続く

「 あ あの… 」

意を決して声を出した もみじだったが

「帰りましょうか。俺も明日までにやらなきゃならない事を思い出しました。」
「 あ…はい。 」
「送りますよ。」


その後 店を出た二人は、会話も少なかった

しかも その少ない会話の内容は
「イルカ先生って、今歳はいくつかなぁ?」「いつもあんなに可愛…明るいの?」と
カカシからのイルカの質問ばかりだった。

それでも気持ちの高ぶりが治まらない もみじは
少しも変だとは思わず、懸命に知っている範囲を答えていた。

「あの、送って頂きありがとうございました。」

ペコリと深く御辞儀をすると

「どういたしまして。おやすみなさい。」

と、御辞儀している頭上から声を掛けられ
ゆっくりと頭を上げた時には、すでにカカシの姿は無かった。




その頃イルカは

「デートの付き添いもしなきゃならんか…。」

畳の上で仰向けになり「は〜あ…」と溜め息を吐いていた。






後編へ続く



 
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