※カカイル短編3※

□Marriage Ring
1ページ/2ページ


第四次忍界大戦も終わり、ナルトが里の英雄として皆に認められ、里中の人に感謝され胴上げされる姿を見ながら涙したあの日。
あれから平和な日々が続きナルトも恋をし、大人に近づいていってるのを感じながら俺は嬉しいやら寂しいやらの気持ちでそれを見ていた時期があった。そんな時に声をかけてくれて一緒に飲みに行くようになったのがナルトの元上忍師のカカシさん。
よほど俺が寂しく見えたのか、里にいる時は殆ど毎日声をかけてくれて飯を食いに行ったり酒を飲みに行ったりと誘ってくれた。
そして気がつけば教え子達が離れていった寂しさは消えていったけど、次に俺を惑わせたのは彼への気持ちだった。
優しくされ過ぎて、物言いたげな眼差しで見つめられ過ぎて、そのうち会話する二人の顔も近過ぎるほどになって行き…。彼に会う度、顔を見る度に胸が高鳴るようになっていた。
こんな感情は持ってはいけない。彼に嫌われたくはない。彼の優しさやボディタッチは親友に対するそれであって…決して他意は無いのだからとずっと我慢をしていた。
だけど違ったんだ。実は彼も俺の事を同じ感情で見ていたようで、ある晩の飲みの帰りに誰の気配もない路地裏で「先生…好き。」と熱い吐息で告白されて唇を重ねられた。もちろん嫌じゃなかった。むしろ夢のようだった。だって俺もこうしたかったのだから。そして当然両思いになった俺達はそのままカカシさんの部屋へと瞬身で飛び、彼のベッドの上で夢中になって愛し合い求め合い、ひとつになって…今に至るんだ。
それからほどなく二人の住まいは殆ど俺の部屋となっていき、カカシさんの持ち物も今は大抵俺ん家にあったりする。彼が名前をつけたウッキー君と言う観葉植物も今は部屋の一番陽の当たる場所に置かれている。
「ねえ、今日の夕飯何食べる?そろそろ買い物に行かない?」
「そうですね。そろそろタイムセールの時間ですね。昨日が魚だったから今日は肉がいいなぁ。」
なんて、休日には仲良く買い物だって行くようになったんだぜ?たまには買い物帰りに映画なんかをレンタルして食後に部屋を暗くして二人で並んで観たりするんだ。
それが俺たちの至福のとき。知らず知らずのうちに映画に見入りながら手を繋ぎあっていたりする。気がつけば少し離れていたはずの体も腕と腕が密着していたりして。俺達って恋人同士なんだな…と、そんな時に改めて思い、ニヤけそうになるのを我慢したりするんだ。俺は本当に幸せだった。

それからまもなくナルトや他の教え子達の結婚が次々と決まっていった。
お陰様で俺にはカカシさんがいたから寂しさよりも喜びの方が勝った。あのイタズラ小僧が結婚だってさ。いつも一人でアカデミーのブランコに座っていた。寂しそうに座っていた。あの小さな子が結婚…
「先生?」
夕飯の味噌汁に使う大根を切りながら、俺は涙を流していた。涙腺崩壊。
「どうしたの?何かあった?」
皿を出していたカカシさんが心配そうに声をかけてくる。
「ナル…ナルトが結婚するんだなぁと思ったら…家族が出来るんだなぁと思っ、思ったら… うっうっ。」
ふわりと優しく体を抱きしめられる。
「そうだねぇ。あいつも家庭を持つんだねぇ。羨ましい?」
「うらっ!?羨ましくなんて!」
「あはは。ほら、泣いてないで夕飯の支度しよ?」
「…はい。」
ちょっぴりブウッとした顔をして、俺は大根を切り続けた。
その日の夜のカカシさんは俺を抱き寄せはしたものの「先生には俺がついているから。ね?」と、静かに背中を撫でるだけで…。俺はそんな彼の優しさに泣きそうになりながら、また笑われそうだからと涙を耐えた。

ナルトが一番乗りで式を挙げ、次から次へと教え子達の式が続いて、俺は「祝儀貧乏」になりかかっていた。いや、もうほとんどそうなっていた。
「当分の間、生活費は全額俺に払わせて?」
そんなカカシさんの言葉に俺は甘えた。前の俺なら「いえ、そういう訳には…」とかなんとか言って断っていたと思う。でもいいんだ。俺は彼に甘えるんだ。その方が彼も喜ぶんだ。今回だけはマジ甘えさせて貰う。大好きカカシさん。



 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ