※カカイル短編※
□桜の丘で
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「カカシさんも変な人だなぁ。俺なんかの料理でいいんですか!?カカシさんの彼女に叱られないかなぁ。」
ハハハと笑えば
「いないよ。そんな人。」
と、微笑んで こちらを見る。
「え。意外だなぁ。」
嬉しさが顔に出ないように、おどけて見せた。
弁当箱が空になるまで、体が触れ合うくらいの距離で並んで座っていた。
「さて行くかな。先生、約束だよ。近々招待してね。普通の家庭料理がいいな。あ、天ぷらだけはNGね。」
エヘヘと頭を掻きながら「じゃ。ご馳走様でした。本当に美味しかった。」そう言い煙と共に消えていった。
酔狂な人だ。
女に飽きて、しがない中忍でもからかって遊ぶつもりか…。
卑屈な思考に捕らわれそうにもなり、頭を振る。
あんなに嬉しそうに、美味しそうに…そして楽しそうにしてくれていたじゃないか。
彼から縮めてくれた、この距離を大切にして行かなければ。
たとえ自分の気持ちが報われなくとも。
「俺も戻るとするか。」
ヨイショと腰をあげ、空になった弁当箱を片手にイルカも桜の丘をあとにした。
いつか2人分の弁当を持って、またあの人と此処で過ごせたら…と夢見ながら。
終
※うちのイルカ先生は作者と違って料理上手なんです。