※カカイル短編※ 

□匂い
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「あ、こ、こんにちは。」

赤い顔のイルカがカカシに挨拶をし「ナルトの横にでも、どうぞ。」と席を勧めれば

「ここでいいですよ。あいつの隣だと汁が飛んできそうで。」

と、イルカの隣に腰を落ち着かせた。

「カカシ先生〜何しに来たんだってばよ。なんか急用?」
「こらナルト、口の中の物を飲み込んでから話せ。」
「もう話しちまったってば。」

するとイルカの横からクスクス笑う声がきこえ「親子みたい。」とカカシが言った。
次いで「テウチさん、ネギ醤油ちょうだい。」と言い「あ、この2人の分も俺が払うから。」とニッコリ笑った。

「えっ!!マジ!?すげえっカカシ先生!!太っ腹〜!!あ、あのさ、あのさ、おかわりいい!?」
「ナルト!!あのっ、すみませんっカカシさん。」
「イルカ先生は餃子も好きだってばよっ!給料後には必ず餃子も食うよな!?俺ってば餃子も食べ…」

「ぎゃーっ!!」と赤い顔をして、イルカがナルトの頭を抱え口を押さえた。

「クスクス…テウチさん、餃子も2皿焼いてちょーだい。俺も少し頂くから。…食べ盛りだねぇ、2人とも。」
「重ね重ね…すみませんっ。カカシさん。」

耳まで赤くしたイルカが立ち上がりカカシに深く御辞儀をした。

「イルカ先生、座ってください。ね?」


優しい眼差しでイルカを見つめ、軽くその手を掴み取って下に引き、座るよう促した。

「へい、ネギ醤油お待ち。」

カカシの前にラーメンが置かれた頃には

「おかわり!!あ、麺は少なめ、チャーシュー入りでっ!」と、ナルトの次の注文が店内に響いてた。

「珍しいですね、カカシさんがラーメン食べるなんて。」
「そう?」
「あ。匂いに釣られて入って来ませんでした?確か“いい匂い。”って暖簾をくぐって来たから。」
「…うん。」

イルカはエヘヘと笑うと

「俺も、このラーメンの何とも言えぬ香りに誘われ足を踏み入れたんですよねぇ。」
「イルカ先生は、本当にラーメンが好きなんですねぇ。」

目を細めてイルカを見れば

「誰でも好きなものの匂いには敏感になりますよね…。」

とポツリと言った。


それが例え油っこいラーメンの匂いの中に紛れ込んでいても。

『イルカ先生の匂いなら、数メートル先からでも分かるよ。』



木の葉の里の夕暮れは、こうして今日も静かに優しく里の人々を包み込んで行く





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