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□我も恋う〜ワレモコウ〜D
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「今日は掃除はしなくてもいいよ。それより、頼みたい事が有るから。」

―――頼みたい事?

「こっち来て。」
「 !? 」

カカシに手首を掴まれ誘導されるがままにいると

「 !! やっ! 」

そのまま手首を引っ張られ、ベッドの上に体を投げ出された。

「 ! 何す… ! 」

起き上がろうとした時には、すでにカカシに両手首を掴まれ
その美しい顔は、すぐ目の前に有った。

「 ! 」

イルカは顔が赤くなるのが自分で分かり、複雑な気持ちになる。

「悪いね。俺、夕べは花街に行かなかったんだ。」
「…そんな事…私には関係ありません…」
「 花。 」

カカシの顔が、イルカの首筋に近寄り クン と匂いを嗅ぐ。

「 ……俺の忍犬達が言ってたよ。」
「 …犬…何‥を…。」

カカシは花の顔を間近で見下ろし、何かを探るように見つめていた。
左目の写輪眼も開けていたので、初めて見る深紅の瞳にイルカも見入ってしまった。

「あのね…」
「 ? 」
「 花からはオスの匂いがするってさ。 」

「 ! 」


バレていた!?犬達は気付いていたのか。


「 あんた 誰? 花は…“女”は仮の姿でしょ?」
「……。」

仕方有るまいと、イルカは観念した。

「これも…依頼人からの指示ですから。」

カカシに抑えられたまま、花の体は白い煙と共にイルカ本来の姿に変わった。

「 やっぱり…あんた…。」
「すみません。俺だって不本意ながらの女体変化だっ‥た‥。?」

見るとカカシが少し赤い顔をしてイルカを見つめている。

「?あの‥はたけ上忍?」
「 ! え!あ、ごめん。えっと‥イルカ?」
「え!なんで名前を!?てか、もう離して頂けませんか?逃げやしませんから。」
「あ‥うん。」

カカシは もそもそとイルカの上から体を退けてベッドの端に正座した。

「 ? 」 急におとなしくなったカカシを不思議に思いながらも
上忍が正座している手前、自分も姿勢を正しベッドの上で正座する。

「 すみません。騙すつもりは無かったのですが、依頼人の提案で女体変化しての任務となっておりました。」

ふとカカシを見ると、何やらボーっとイルカの顔を見ている。
頬も何やら赤味が差していたので

『 え、まさか熱でも有るのか!?』

任務に行かずに部屋に居たと言うことは、そう言う事か。

「あの、はたけ上忍。風邪でも ひかれましたか!?熱 有るんじゃないですか?顔が赤いですよ?」

体温計は何処ですか!?と立ち上がろうとした時に、不意に手首を また掴まれた。

「待って。風邪なんか ひいてません。」

「 え?でも‥。」

中腰でカカシを見下ろす形になっていたせいか、此方を見上げるカカシの表情が切なげに見え ドキッとした。

するとカカシは視線を横へ外し、赤い顔をしたままイルカに驚きの 一言を放ったのである。


「 俺…あの時‥あんたに一目惚れしたみたい。」

「そうですか…。て‥ん? えぇー――っ!?」




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