∴季節物・誕生日∴
□2015年 イル誕
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「え?蝋燭いらない?」
「いや、そうじゃなくてですねぇ…それは仏壇用の蝋燭であって…」
ちょっと待て 問題はソコじゃなくて
「えーと、あの… ところで何故カカシさんが此処に?俺の…誕生日に?」
「ナルトに頼まれたんですよ。ま、頼まれなくても誕生日と知ったからには御祝いさせてくださいよ。」
「ナルトが…?」
ワイングラスお願いします。と言うカカシさんに「普通のグラスしか有りません。」と答えると
彼は「仕方ないな」と言いながら何処ぞからグラスを二つ出して卓袱台の上に置いた。
どういう仕組みなのか?口寄せグラス?マジック?え?なに?
と、不可解に思いながらも顔には出さずスルーした。
それにしてもナルトが頼んだって?
俺の誕生日にカカシさんに行くよう頼んだと言うことなのか。
「ナルトがね…」
「あ、はい。」
彼から話してくれるようだ
「旅に出る前に俺に言ったんです。もう少しでイルカ先生の誕生日なのに今年は一緒に祝ってあげられないと。」
あいつ…
「毎年二人で御祝いしていたんですね?凄く残念がってました。」
あいつ…
「大きいケーキを食べそこなったなーとか言ってましたけど、何より先生一人にさせるのが…て、え?先生大丈夫?」
「う… だ、大丈夫っ!ですっ!」
くそうっ!あいつ!泣かせやがって!!
「はい、ティッシュ。鼻水も出てますよイルカ先生。」
「すっすびばせんっ!」
もういいや。里の誉の前で醜態さらしても。
「まあそんな訳で。今日の俺はナルトの代理です。ナルトからはいろいろと聞いてますよ。どんな風に過ごしていたかって。」
「そうですか。ははは…お恥ずかしい。…えこひいきだと思われるでしょうね。」
「いえいえ、そんなんじゃないって俺には解りますよ。」
「カカシさん…。」
「さ、乾杯してケーキ…は俺は苦手なんでツマミを頂きますが楽しく過ごしましょう。」
「ナルトは酒なぞ飲みませんでしたよ!」
アハハと笑うとカカシさんも笑ってくれた。
「でも実は、今夜はケーキだけ食べようと何も用意していな…」
「これね、総菜屋で適当に見繕って買ってきました。ほら、ケースのままで食べましょう。洗い物を出さないように。」
「 ……… 」
え?今どこから出した?後ろに手を回して取り出した?後ろに隠していた?
手荷物なんて持っていたっけ?
「はい、割り箸付けてくれました。一膳どうぞ。」
「 はあ… 」
ま、いいか。
ケーキのホール食いは無理だと諦めた。
カカシさんが買ってきた惣菜は、どれも美味しそうだったし、実際どれも美味しかったから。
「毎年こうしてナルトと過ごしていたんですね…。」
「ははは!酒は有りませんでしたがね!」
それと、こんなに美味しい御馳走も。
「さて、そろそろ御開きにしましょうか。」
「あ、はい。今日はありがとうございました。」
俺はペコリと頭を垂れる。 て、あれ?
「カカシさん?何をなされているんですか?」
顔を上げると 上忍師は畳の上で横になっていた。
「カカシさん?飲みすぎましたか?」
「眠いです。眠いから今日は泊まらせてください。」
ちょっと待て え?それもナルトのマネなのか
「えーと カカシさん…」
「ナルトが居ると思ってください。俺はナルトの代理なんです。」
畳に伏せながら上目使いで俺に言う
「でも本当は眠くないのでしょう?」
「寝ます。でもその前に、寝る前に」
「寝る前に?」
まさか… な
「風呂に入ります。」
やはり… な
「ええ ええ、良いですよ。泊まって行ってください。風呂にもお入りください。」
「…イルカ先生怒ってる?」
「怒っちゃいません。ナルトの気持ちも貴方の“ナルトの代理でいよう”と言うお気持ちも、とても嬉しいです。」
仕方有るまい。二人の俺に対する優しい気持ちに答えてやらねば…
「風呂は俺が後で直ぐに入れるよう、トイレ行ったついでに沸かしてあります。」
「さすがイルカ先生。」
「なので直ぐに入れます。カカシさんお先にどうぞ。」
タオルお貸ししますね、今出します。と
俺は立ち上がり風呂場へ向かった。