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□意地悪。
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「…まだ起きてたんですか。」




振り返ると、真っ白なマントにつつまれた怪盗さん。私が大好きな人。

「キッドを待ってたんだよ」

心の底から自然に浮かぶ笑顔。もう夜更かしなんて、慣れっこよ。


「はは…ありがとうございます。」

…。


…キッドはいつになっても、私を恋愛対象として見てくれない。

何でこう…精一杯のアピールを、スルリと交わしてしまうんだろ。


「…意地悪」

「ん?私がですか?」

「うん」

「それは貴方もでしょ」

「は?」

キッドはにやりと微笑み、そっと帽子を取った。私はもう、キッドの素顔を何回も見ている。


「…やっぱ夏にこの衣装はキツいなぁ…暑。」

「…お茶飲む?」

「はい



…ホント、キッドってテレビと違って意外とただのがきんちょなのよね。


「はい。どーぞ」

「ありがとうございまーす。…はー、うまいですね」


そう言い、軽くウィンクを交わすキッド。
…そうゆうのを意地悪って言うのよ。



「…かなこさん。」

「はい」

「僕は確かに意地悪かもしれませんが、貴方みたいに…鈍感、てところも

…かなりの意地悪なところなんですよ。」

「…は?何言って……」




急に間近にあったキッドの顔に、ただただ口をパクパクさせる私。

「な…何して…」

「もしもこんな風に」

ーぐっと私の両手を握り、上に持ち上げるキッド。

「私に抑えられたらどうします?」

「…離して…」

「もし僕が襲いたいなんて言ったらどうします?」

「…ふざけてる?」

「はい。」

「…最低。」

私は力強く手を振り払った。


「好きでもない女にそんな事しないでよっ…

ホントキッドは」



ーぐいっ


…キッドの唇に強く抑えつけられる。
息ができなくなっても、その唇は離れない。

離れようとしても追いかけてくる。


「…そうゆう発言も、意地悪って言ってるんですよ……」

キッドはにやりと微笑み、私から静かに離れた。



「…貴方、最近工藤新一と仲良いでしょ」


…え?

「…何で知ってんの!?」

「さあ…それはシークレットです。
…あんまり、他の男に食いつかないで下さいよ」


キッドの言葉に、さらに速くなる鼓動。
…キッド…もしかして…私の事……



「ー期待してもいい?」

私はキッドの背に向かって発した。

「貴方の恋愛対象に…私が入るって事」



キッドはゆっくり振り返り、優しく微笑んだ。



「もちろん」





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