ロキの話
□メモリィ〜秘密の遊戯〜
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「義父さん、遊んでよ!」
「ウル!」
久し振りにトールが帰って、家に居た時の事――――
「あのね、スキーがいい!」
「スキー?待て、お前ソレ……」
此処は北欧。1年中大抵雪は降っているからスキーをする場所には困らない。
だが……
ウルはトールの本当の子供、ではない。
トールの妻シフの連れ子だ。トールとシフが結婚した時、シフが連れて来たのだ。
「いいでしょ?義父さん、いっつも遊んでくれない癖に」
「う゛っ……」
「ロキはこの前遊んでくれたもん」
「ロキがか?」
「うん!義父さんが出かけてた時にね、家に遊びに来たの。その時にゲームとかいろいろしてくれたんだ」
「……」
(あいつ、意外と面倒見良いなぁ……。ん?そう言えばあいつ……いやいや、考えるのはよそう)
考えを続けると、何か恐ろしい事を思い出しそうな気がしてトールはそれを考えるのをやめた。
「ねぇ、スキー、連れてって」
「だが……またこれから出かけなければ……」
「仕事?」
「ああ」
「……じゃあいいんだよね?」
「何が?」
「この前義父さんがХХХХХたのをお母さんに……」
サァー――――
その言葉を聞いた瞬間トールの体から血の気が引いた。
頭を鈍器で殴られたかの様な衝撃が走った。
「なんで……お前が知ってるんだ?」
誰も知っている筈は……
ニィツ
ウルは満面の笑みを浮かべてもう一度言った。
「連れてってくれる?」
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