偽ソラ外伝

□いけいけぼくらのどくたーシャフト
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ゲベルシャフトが発明品の入ったダンボール箱を引きずって広場にやってきた時には、既に被験者は到着していた。

白いコートを飽きもせずに着続け、やはり飽きもせず同じサングラスをしているこのやる気の全く感じられない男が、被験者409号であった。
だがしかし、ゲベルシャフトが呼んだはずの彼以外にも、数人程の取り巻きがいた。いずれも、彼の知り合いである。


小柄な背格好で、常に飄々とした態度をとり、張り付いたような笑顔をした少年、ランス。

409号の隣で金髪を弄くっている、いつもジーンズの女性、フレーティア。

そして、彼女の後ろに隠れるようにしている黒髪の少女、アザカ。


予定より多い人数に、しかし彼はそれを気にかける様子は無かった。
彼の発明は見世物ではないが、今回のデモンストレーションが好評ならばこれを企業に売り込んで量産するつもりである。いずれ世間の目に触れるのだ。彼等が発明を見るのが早くなっただけの事だった。
勿論の事、彼の発明が好評な事は間違いないだろう。以前409号の義足を作成した時も、ゲベルシャフトが用意した四つの義足から被験者は最後まで決める事が出来ず、結局現在使用している物と『マッハでGO君』を持って帰ったのだ。普段からドクターの発明を見慣れている彼でさえこれなのだから、世間では革命の嵐は吹き荒れるに違いなかった。
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