偽ソラ外伝

□いけいけぼくらのどくたーシャフト
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『□がつ▲にち(いいかんじ)』



レイヤード第四層エネルギー生成区、レヒト研究所。今は無き人工の神に最も近いこの研究所には現在、神をも恐れぬ所業の成果が存在する。


その成果である子供達は今、TVゲームやインターネット、読者や訓練等、思い思いの事をしていた。

その中の一人、カタログ雑誌を広げて難しい顔をした女の子が、端末機でネットをしている女の子に声をかける。

「ねぇティセ」
「・・・・何ミリア?」

ティセと呼ばれ、その子供はモニターから視線を外した。かわりに、視界にミリアを入れる。

「パパの誕生日プレゼント、何がいいと思う?」
「・・・・・」

ミリアの問いに、ティセは端末に視線を戻し、何やら検索を始める。
やがて、

「スーツ、ネクタイ、時計、端末機、車、家。いろいろあるみたい。」

でた結果を眺め、言う。
その端末のモニターをミリアも覗き、ため息を吐いた。

「いくらなんでも、家や車はプレゼント出来ないよ。せめてスーツとか・・・」

と言いかけたところで、その値段に閉口。無言で時計や携帯端末の価格を眺め、肩を落とす。

「・・・・手が届きそうなの、ネクタイしか無いね」
「うん。」

でも・・・と、ティセは首を捻る。

「お金、どうするの?あたし達、持ってないよお金・・・」
「何の話してんだ?」

声が部屋に響く。彼女達が振り向くと、シャワー上がりで長髪を濡らした男の子が近付いてくる所だった。

「あのねクォーツ、パパの誕生日プレゼント、ネクタイにしようと思うんだけど、バイト何がいい?」
「ちょっと待て。俺が働く事前提なのかよ?」
「お金ないもん。」

至極当然のように言うミリアの横で、ティセがコクリと頷く。

「・・・・まぁいいけど、お前も働けよ。あと、ライにも頼んでみるわ。あいついつも暇そうだし」
「さすがクォーツ、女のために身体を張るなんて、男の鏡よね♪」
「だからお前も働けっつーの。で、なんかこう、ぱぱっと出来てバイト代高いのってある?」

それに対し、ティセが端末で再び検索をかける。
暫くして出た結果を時給の高い順に並べ変え、彼女は指を指す。

「これ・・・」

その時給は、1時間10c。かなりの報酬だ。
そして内容は、次のようなものだった。


『悪の組織募集!年齢制限無し。明るい感じの職場です。休憩にはお茶、お菓子も出ます。面接無し。日払いOK!』
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