偽ソラ外伝

□いけいけぼくらのどくたーシャフト
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「で、なんだそのでかい箱は?」

待ちくたびれたと言わんばかりに、被験者がイラついた声をあげる。早くドクターの発明を見たいのだろう。片足がリズミカルに、トントンと動いていた。
その様子をひとしきり眺めると、ゲベルシャフトが白衣をはためかせた。

「フッハハハハハハァ!」

優雅に舞った白衣にあわせ、大胆不敵な哄笑を上げる。
その姿のなんと雄々しいことか!


「うむ!では、この発明品を見るがいいのだ!」
「えぇ!?買い物じゃないのぉ!!?」

フレーティアは何故か買い物の方が楽しみだったようだ。あろうことか不満の声を上げている。
だがゲベルシャフトは動じない。天才がこの程度で動じる訳が無いのだ。彼が凹む時は、サイバーレンジャーを予約し損ねた時くらいなのだ。

ドクターはフレーティアを制するように手を上げると、その手をそのまま天に翳した。残念ながらここは地下であるために太陽は無かったが、ドクターは気にも止めなかった。その辺の妥協は心得ているのだ。

「さぁおいでませい!"夕焼けの向こうのマイケル君"!!」
『Yeeeeeeeeeeees!!』


―――ヅバァァァン!


瞬間・・・・


その場に居たドクターとランス以外の三人が動きを止めた。



ダンボールを破って出た発明品の形は、有り体に言ってしまえば、ボディービルダーである。ただし、その身長は3メートルはあるだろう。

一部を除いて全て茶褐色の金属の皮膚に覆われ、顔には爽やかな笑顔の究極系とも言うべき表情が付いている。どうやら表情は固定されているらしく、どう見ても動きそうに無かった。
装甲は全て動くようになっており、何処までも人の動きを真似る事が出来そうだ。

そして股間周辺のみ、紺色に塗装されていた。

『HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA・・・!』

夕焼けの向こうのマイケル君は絶えずポーズをとり、見る者を飽きさせることはなかった。
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