偽ソラ外伝
□いけいけぼくらのどくたーシャフト
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「聞いて驚け!この"生焼けの隅っこのモンタナ君"は、なんとガードメカなのだ!」
「コレがか!?」
「うむ!ところで、トーテムポールに似てるとは思わんか?」
「似るか!!」
ドクターと会話をする409号の奥で、フレーティアが我に返った。直ぐさま、後ろにいるアザカを揺さぶる。
「アザカちゃんしっかり!大丈夫!?」
「…うぅん・・・・?あ、レティさん・・・?」
フレーティアの呼び掛けに、アザカの思考が明瞭になる。どうやらモンタナ君のあまりの凄さに、立ったまま気絶していたらしかった。
「よかった、大丈夫よね?」
「はい、だいじょう・・・・・!?」
"大丈夫"と言いかけたところで言葉が途切れる。
次の瞬間には、彼女は再び気絶していた。
フレーティアの後ろの見えた巨大なボディービルダーが原因のようで、それに視線が行ったまま、彼女は動かなくなった。
「キャァァァァ!?アザカちゃん!?」
ゆさゆさとアザカの体を振るフレーティアに、突如巨大な影が覆いかぶさった。
「へ・・・・?」
恐る恐る彼女が振り向くと、そこにはモンタナ君がいた。
『ダイジョブディスカ?』
爽やかな笑顔で問い掛けるソレに、フレーティアは思い切り顔を引き攣らせた。
「イイヤァァァァァ!?」
―――ゴン。
『Ups!』
フレーティアはモンタナ君に掌打をかまし、アザカを抱えて距離をとった。
その行為を見ていたドクターが、彼女に批難の声をあげる。
「ぬう貴様!"昼下がりのどこぞのテリー君"に何て事するのだ!?彼はスーパー万能ロボットなのだぞ!?」
「ガードメカじゃなかったの!?」
彼女からの悲鳴にも似た問い掛けに、ドクターはふふんと胸を張った。
「そう、この"夕張の明後日のボブスレー君"は、なんと万能型なのだ!なんでも出来るぞ!炊事洗濯、魔よけからオバアチャンの介護までな!」
そう、ゲベルシャフトが天才たる所以は、この万能さにあるのだ。よって、彼が造るものも、自ずと万能型になる事が多い。
「魔よけっていうか、寧ろ色々と凝縮しそうな勢いだな
で?そんな物を見せるためだけに呼んだ訳じゃないだろ?」
「そのとうりでぁる!」
409号の特技は、この話を元に戻す事である。自らの発明に熱中しすぎる事があるドクターにとって、この特技は貴重であった。
本筋に戻ったところで、ドクターは今回の用事を彼等に伝えた。