竜と悪魔と鋼鉄と

□Sieben:覚悟と悪魔とその先と
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日は落ち、赤茶けた大地に幕が下りる。
黒の幕、その舞台裏では、帳と色を同じくする影が蠢いている。

「MT部隊は出発したか?」
「ええ、予定通りならば、586秒ほど前に」

その中の一つ、痩躯の影が掠れた声で問い、隣の小さな影が答える。小さな影は少女だ。蠢く影達の中、その二人だけは微動だにしない。

轟、と音が響いた。
彼等は隠密行動中であり、音を発す訳にはいかない。
発したのは、影の頭上を越える鉄塊だ。やや紫がかった無象の翼を後ろに伸ばし、空気を裂いて遠退いてゆく。

「白いな」
「あのAC、彼ですわね。どうなさいますの?」
「やつは我々等眼中にない。が、邪魔だな」
「分かりましたわ」
「俺は、目標が現れるまで寝る。動きがあれば起こせ」
「構いませんわよ」


それきり、影は影に戻る。


 
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