偽りのソラで
□堕翼
1ページ/27ページ
カーテンの間から差し込んできた光りで俺が目を覚ますまでに約一時間かかった。眠い・・・果てしなく、眠い。
のそのそとベッドから下り…ゴタ!・・・落ちて、起きるまでにまた2分程かかる。
何とか四つん這いで部屋の出口まで行き、ドアの枠で身体を立たせる。
あ…また寝てた。
探偵に休業日は存在しない。それが貧しいならば尚更だ。
洗面台の前に立って蛇口を捻り、顔を洗う。そして目と目の周りを揉んだあと、いつものように鏡を見る。
そこに写ったのは当然俺、デュラン・オーバー・ドーズ。お世辞にも人懐っこいとは言えない顔が眠気で浚に近寄りがたくなっている。
髭は二日剃って無いせいで、顎がやや白い。
髪はオールバックのはずだが、寝癖のせいか統制を乱して好き勝手に自由を表現している。
歯はざらざら、口は酒の臭い。どこからどう見ても独り身男性の見本みたいになっている。
そして俺には、人とは違う部分がある。
―――目だ。
俺の目は銀色、しかも決まった色素が無く見た物の色を反射して色が変わるのだ。日の光りに反射すると真っ白になり、白目にすら見える。俺の嫌いな部分で、いつもサングラスをしている理由でもある。
―――さて
俺としては全てをほっぽりだして二度寝したいところだが、仕事があるのだ。
・・・・そう!
俺には仕事がある!
つまり金が入る!
寝る訳には、いかない。
この仕事を成功させて報酬をもらい、料理番組を見ながらお得用カップヌードル(300dc税込)を一人淋しく啜るなんて生活から抜け出すんだ!!
だから起きろ俺!
・・・段々目が覚めてきた。
気を取り直して歯を磨き髭を剃り、髪型を整える。
最後に部屋に戻りカーテンを開け放ち、両手の義手の調整をする。
この義手は俺がクレストの専属レイヴンだった頃に負った、俺への戒めだ。
自分の命を、そして
アイツの命も粗末にした俺への・・・・
ひと通り調整を済ませたあと、散乱した部屋を片付けていつでも客が来れるようn…酒臭いorz
窓を全て全開にする。一時間もすれば臭いも消えるだろうという楽観的な考えをしながらブラックコーヒーを容れる。それを一気に飲み干すと、頭の霧が晴れた。
さあ…依頼を遂行しようか!今回の仕事は難物だ。ターゲットの捕獲という一見簡単そうな依頼だが、このターゲットがくせ者だ。なにせ人が入れない場所や登れない高さまで平然と逃げてくれるのだ!今日こそ、今日こそ仕事をするんだ。そして俺は・・・・一週間ぶりのマトモな食事を食べるんだぁぁぁぁ!!
さあ、銃は持った。護身のナイフ、携帯端末、ハンカチ、煙草、ライター、グラサン、車のキー…全て確認した。
じゃあ行こうか。
猫捜しに・・・・・