偽りのソラで

□呪縛
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おそらくはどこかの裏道であろう。人気が無く、薄暗い道を二人の人影が走っていく。


一人はウェーブのかかった黒いロングヘアー。もう一人は、どこから見ても目立つくらいに鮮やかな銀髪を、ツンツンに立てている。

二人は何かから逃げるように時に後ろを振り向きながら、宛てもなく走り続けている。

否、逃げているのだ。
彼らには追われる理由が解らなかった。しかし奴らは、彼らを追跡している部隊は、明らかに彼らを殺そうと襲いかかって来たのだ。

彼らは必死に逃げた。
逃げ切れる確証は少なからず有ったし、それに何も解らないまま殺される訳にはいかなかったからだ。


「どこまで逃げればいいのよ!」
「さあ?とにかくMTか輸送機さえ奪えれば、あとはこっちのもんだ!レイヴンが二人もいれば、何とかなるだろ?」

銀髪の方は男で、ロングヘアーの方は女性だったらしい。男は彼女に向き直ると、真剣な顔で彼女を元気づけるように喋る。

「それに、道は俺が開いてやる。血の斑道だろうが、屍で出来た河だろうが、何処までも守ってみせるさ!」
「あなたは私みたいに強化人間じゃないんだから、あんまり無理しないでよ。」
「こんなとき位、恰好つけさせろよ・・・」

喋りながら走っても全く息が乱れない所は、流石レイヴンと言ったところか。

彼らは、もう使われなくなったのであろう何かの工場らしき建物に身を隠した。

「おい、こんなところに隠れる暇があるなら、少しでも先に進んだほうがよくないか?」
「一度情報の整理が必要よ。訳の解らないまま追われるなんて、まっぴらごめんだわ。それに、先回りされてるかもしれないし。」
「それはそうだが・・・・」


と、建物の中が突然明るくなる。同時に、若い男の声が響く。

「ククク・・・どうやら今日は、ツイてるらしいな俺は!」
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