偽りのソラで
□凶迅
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O.A.E.からの依頼を請けて午後9時から始まったこの作戦は、何事も無く唯時が過ぎていくだけだった。
この居住性最悪な糞狭い糞コクピットに押し込められて数時間経つ。正確には3時間28分。
いや、作戦が始まる前からHresvelgrに乗っていたのだから、もっと経っているのか・・・
いい加減集中力が切れそうなこの我慢大会は、しかしO.A.E.のミラージュ本社壊滅作戦が終了し、尚且つ交代組みが到着するまで続くのだ。
別に眠い訳では無い。が・・・
『ふぁ〜・・・・何にも来ませんねぇ〜』
この糞オペレーターはさっきから欠伸ばかりしていたりする。
「おいこらオペレーター、しっかりレーダー反応見とけ。お前の乗ってる指揮車が1番索敵範囲広いんだからな・・・」
『見てますよぉ〜。でもー映ってるのはDurandalさんのACとシティガードさん達のMTだけで、これが四時間半続いてますね〜。いい加減画面にシミが付いちゃいますよ〜』
気力ゼロのオペレーターというのもなかなかに珍しいが、今は迷惑以外の何者でもない。
黙らせようかとも考えたが、黙ったら黙ったで本格的に寝るんじゃないかとも思う。
オペレーターは眠気を掃うかのように未だ喋っている。まあ、お陰で眠気は来ないのだが・・・
『このモニターちゃんもシミなんて出来たらお嫁に行けなくなっちゃいます〜。シミはお肌の敵ですからね〜毎日のケアが大変なんですよ〜イヤホントに』
来ないのだが、正直ウザい。しかも何の話しかもわからない。
まあ、これはいつもの事なのでそろそろ慣れてきてはいる。出来れば慣れたくはなかったな・・・
・・・・・ハァ
肺に溜まった息を吐くと、未だに謎言語を誰かへ向けて(俺では無いと思いたい)発するオペレーターへ話しかける。
「なあ・・・」
『ネィアスは前線のオペレートで頑張ってるのになんで私はこんな僻地で睡魔とたたかっはいなんですかDurandalさん?』
さっきまで喋っていた文章と地続きで応答するオペレーター。
てゆーか愚痴か、愚痴漏らしてたのかこの腐れぶりっ子。
まあいい。気を取り直して俺は言葉の続きを発した。
「・・・寝て良いか?」
『ダメです。』
コンマ1秒での返答。
その即答っぷりったるや鮮やかで、正に即答の達人の域だ。そんな達人は聞いた事ないが。まあ、居たら居たで殴るだろう。それはもう綺麗な土下座を30分は止めない位に。