偽りのソラで

□煉獄
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  <263/12/14>




病院にしては綺麗とは言い難い、ココ、ゲベルシャフト診療研究所。

俺は診察を受けていた。



あの依頼の後、いつかのようにコーテックス息の繋かった病院のベットで目が覚めた。
本来ならその病院で診察を受けるべきなのだろうが、残念ながら俺は依頼を失敗したくちだ。金は無い。
よって、いつもの如く松永から最低限の金を借り、同じく自分の知る限り最低限の金で診療してくれるこいつの所に通っていた。

ちなみに、レイヴンは生命保険が効かない。
常に死と隣り合わせの仕事をしている俺達は、保険会社からすれば何かある度に保障金を払わなければならないマイナス以外の何者でも無く、そのマイナスは大量の保険金を毎月徴収しても足りはしないのだ。

つまり簡単に言えば、俺は保険に入ってないから、診療代と言っても一般家庭のそれとは比較にならないほどの金を払うということだ。
レイヴンにとっては1000cも10000cも大した額ではないにしろ、金欠病な俺にはかなり堪える。
そのうえ、松永に金を借りると、一ヶ月後には丸が一つ殖えてたりもする。
きっとヤツは、良心の代わりに簿記や表計算のソフトが入ってるに違いない。



そんなどうでもいい事を考えていると、診察室にゲベルシャフトが入ってきた。
今日は何故か髪形がモヒカンになっていた。ヤツの左右で色の違う髪の毛が真ん中でぴったりと合わさり、赤白帽を広げて作ったソレにとても似ている。

「ヘイ!我が心のトモであるところの被験者409号よ!今日の調子は絶好調ー!!」

そいつは診察室に入るなり、俺に聞くどころか自分の調子を叫んだ。

こいつの頭の調子は毎日異常だ。この状態が正常ならば、一度でいいから異常になって欲しいものだ。

「そんなことよりさっさと診てくれないか?」
「ふふん、ほんとはもっといたいく・せ・にぃぃ!このワタクシ様にかかれば診察など5分で終わるが、それでは貴様も物足りんだろう!まあまあ待て待て、今日はワタクシ様プレゼンツのすんばらしぃ発明があるのだ!」

こちらとしてはさっさと済まして帰りたい。用事があるのだ。主に副業の探偵の仕事に食ったり寝たり。あと寝たり。

しかしこちらの事など全く気にかけるそぶりもなく、やつはその発明品を取りに一旦奥に消えた。



・・・・・ハァ



いい加減、この溜め息癖も直さないとな・・・


溜め息は幸せが逃げるらしいと、この前オペレーターに聞いたのだ。
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