竜と悪魔と鋼鉄と

□Ein:空と魔笛と幻影と
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地面に降りると、ラインは地平を指していた。

あたし達が向かうのは、クレストの軍事駐屯地。
あたしが所属してる、ミラージュって企業の敵さん。
かい摘まむと、こっちの領土に勝手に作った基地を壊せ、だそうだ。
なんかごちゃごちゃ言ってた気もするけど、あたしの頭じゃパンクするんで流してた。
覚えてない。

どういう理由でいがんでるんだか知らないけど、もうかれこれ100年くらい殴り合ってるんだそうで。
よく飽きないわねと、感心する。


そうそう、あたしが乗ってるこの子も、紹介した方がいいわね。

あたしが乗るのは、アーマード・コアとか言う巨大なロボット。
略してAC。
現代最強の兵器で、大きさはだいたい10mくらい。基本的には人型だけど、パーツを付け替えて色んな形に組み替える事が出来るみたい。勿論、武器も色々と持たせられる。
あたしには"着せ替え遊び出来る大きな人形"な認識なのだけれど、地上を速く走れて空も飛べる。戦場では向かう所敵無し。弱点らしい弱点が無いっていう、なんだか出鱈目な物なんだそうな。

あたしのACは、軽量逆関節型のACだ。
名前の通り、速度と軽さで攻撃を避ける機体。
この子の武器はショットガンとレーザーブレードだから、懐に潜り込まないと戦えない。
けど、あたしは凄く気に入っている。
だってこの色、彼が決めてくれたんだもの。
あたしの髪をイメージしてくれたんだって。
もう少し、鮮やかにしてくれた方が良かったんだけど、あんまり目立つと的になるって、気を使ってくれたみたい。
ま、自毛が緑なんて珍しいみたいなのだけど。


HMDに変化。
ここで待機?
…ああ、タイミング合わせか。

彼の機体は遅い。
ACだから、そりゃ速いほうなのだろうけど、ACってモノの中じゃ、相当遅いみたい。
その代わり、とっても逞しい。
あの厚い胸板とか惚れ惚れするわ。そりゃもう。


『ナイトより全機へ。無線封鎖を解除、ODの配置を確認した』
『ODよりGDへ。笛を吹け』

っと、小姑が復活したわ。
彼の声も聞けたからいいけど。

さて、作戦開始ね。

「GD、了解」

返し、あたしはスロットルとは別のものを押す。

この子がこの子たる所以。
ディ・ツァーバーフレーテである所以を見せて…


いえ、聴かせてあげる。
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