竜と悪魔と鋼鉄と

□Drei:銀と悪魔と守人(モリビト)と
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「はい、大きく息を吸って・・・ あら、どうしたの?」

あたしは固まっていた。
作戦が終わった後の、お決まりの身体検査。その途中。
あたしが服をたくし上げた所に、斎藤が入ってきたのだ。

「・・・ああ、すまん」

あたしが悲鳴を上げるより早く、スケベ野郎はドアを閉める。
この吸った息、どうしてくれんのよ。

「はい、吐いてー」

吐いた。
いや、そうじゃなくて。

「あたしの裸が見られたのよ? なんでキャシーは平然としてるの! 怒らない!?」
『大丈夫、地平線みたいなお前の身体に興味無いから』
「うっさいわーい!!」

まだドアの外にいたの最低男! かえれ! 土にかえれ!
ドア越しに呪いじみた視線を送るも、なかなか届かない。
暫く睨んでいたけど、眉間が疲れたので止める事にした。
その間にも検査は進んでいて、最後の検査であるCTスキャンに寝そべる。
毎度の事とはいえ、輪切りにされた中身を見るのは、なんだか落ち着かない。


「はーい、終わり」

ベッドから起きると、キャシーの顔が目に入る。
彼女はいつも、ほんわかした笑みを浮かべている。
ただ、なんだか今日は……

少し違和感を感じた。

「あたしの身体、何かあった?」

なので、つい聞いてしまう。
ぇ? と、少し戸惑ったキャシー。
けど、それだけ。
すぐにいつもの笑みに戻ると、何でもないと言われてしまった。

「さ、終わったんだから、愛しのダーリンの所に行きなさ〜い」
「終わったんなら、先にいいか?」

あ、変態男。
斎藤は入ってくると、椅子をキャシーの隣に着けて座る。
なんだか、面談でも受けてるような、妙な気分だ。

「お前、以前から【アオ】がどうこうとか、言ってたよな?」
「え?」

何か変な事でも言っただろうか。
確かに、昔からその色は好きだ。
あの研究所からODに連れ出された頃に顕著にはなったけれど、それは彼の優しい瞳と、空を連想するから。
だから、雲の上の一面の【アオ】の世界は好きだし、テンションも上がる。
けど、それだけだ。
それ以上の事なんて……

「ないわよ?」
「・・・そうか」

そう言うと、斎藤はポケットから何かを取り出した。
レコーダ?
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