偽りのソラで

□動向
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だが、エクルシェアは驚愕した。死角に回り込んだ筈にも関わらず、Schwarz・Loweは完全にこちらに向き直っていたのだから。

「くっ!?」

構わずにロンギヌスを突き出すが、ランスは一瞬の内にアクラシエルの懐へ潜り込む。そして、ハンドガンとダガーで、コアに集中攻撃を仕掛けた。

―――ドド…ギャン!!

ダガーが防御スクリーンを貫通し、装甲をえぐる。ハンドガンが関節を狙い、一部の配線と空力制御のカウルを吹き飛ばす。
喉元に噛み付く獅子から逃れようと、エクルシェアはインサイドを起動。肩口からロケットを発射した。
3×2=6のロケットを不規則に乱発され、ランスは後退を余儀なくされる。それに追い討ちをかけようと狂天使が翼を展開、Schwarz・Loweに向けた。

「消えて失くなれぇぇ!!」
『…チッ』


瞬間、大量の原子核の融合から成る、万単位の膨大な熱量と光、中性子の奔流が溢れ出す。それは一瞬にして風と大地を焼き払い、十数kmのバーナーとなる。砂漠であるセクション68の一角が、さらに不毛な地へと変わった。


間一髪、その奔流に巻き込まれる事なく回避したSchwarz・Loweだったが、その外装は全て妬け爛れ、酷い有様だった。しかもその熱は内部をも容赦無く焼き、ラジエータの最大稼動ですら全く追い付いていない。
現在は、リミッターカットによるジェネレータ最大駆動のため、冷却のための電力には事欠かないが、それもあと数十秒の事だ。

熱による、損傷蓄積の報告が流れるコクピットの中で、しかしランスは眉一つ動かさない。ただ淡々と、ACのカメラを通して眼前の敵を見つめていた。


「ハハハハハハハハハ!黒焦げじゃない!いい加減、死んじゃってくんないかなぁ?父さんを焼く分が無くなっちゃうだろ?」

満身創痍のSchwarz・Loweに多少安心したのか、優越感に浸るエクルシェアの笑い声が響く。

「その状態じゃ、もうマトモに動けないよね。斬殺、刺殺、圧殺の中から好きなやつ選ばせてあげるよ?」
『・・・・そうですね。では我等は、撲殺にしましょう』

ボロボロな状態からは考えられない程に飄々とした答えに、エクルシェアの顔が険悪になる。

「…分からない?僕の勝ちは確定してるんだよ?そんな状態で戦える訳ないじゃん。」
『そうですか?』

エクルシェアの言葉を一蹴し、ランスはOBを展開する。
分からず屋に嫌気がさしたエクルシェアは、照準を合わせていたトリプルロケットの引き金を引き、アスカロンの刃を発現させた。
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