都会の図書館

□ずっと貴方が大好き!
5ページ/7ページ


数分後、目を赤くしたもゆに岬は濡らしたタオルを渡した。
それで顔を拭いて、もゆは、岬を見た。

「やっと泣きやんだね」
「…なにもいわないの?」
「うん、もゆがなにも言わなければ僕は聞かない。もゆが言ってくれるまではね」
「…‥あ、そうだ」

もゆは、ベッドから降りて鞄に入れていたものをだす。
それは、水色の紙とピンクのリボンでラッピングされていた。

「これは?」
「5月5日、岬君、誕生日だから」
「…ありがとう」

プレゼントを開けると、黒と水色で編み込まれたミサンガがあった。

「え?どうしてこの色?」
「日本代表は青でしょ」
「うん」
「んで、日本代表のマスコットはカラス。カラスは黒でしょ?」
「…‥えっと、どういうこと?」

そういと、もゆは満面の笑みで岬にいった。

「日本代表みたいにがんばって!って意味で作ったんだ」
「…‥…もゆ」

どんな状況になろうとも自分たちのことを考えてくれている。
そんなもゆが少しだけ霞んで見えた。

「あのさ、もゆ」
「なに?」
「…‥…この大会が終わったら…伝えたいことがあるんだ…」
「…岬君?」
「だから…‥」


「君もがんばって」

その言葉が、部屋の中にこだましたように聞こえた。

〜end〜
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ