都会の図書館
□エリカのように優しい貴方
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ぱたぱたと小走りで、走ってくる少女。
「日向君!」
自室で雑誌を読んでいた日向は、目を丸くして少女を見ていた。
「もゆ?…どうしたんだ」
「これこれ!」
差し出されたのは、一輪の花。
黄色の紙と水色のリボンで飾られていた。
その花は、真っ白で、花びらが下を向いていた。
「…なんだ?これ」
「いや、もうちょっとしたら、日向君誕生日でしょ?」
「まだ7月だぞ?」
花を抱えているもゆは、ふくれっ面になりながら日向をみた。
「だって、8月は、私スペインの方に帰らないといけないし…絶対にこの花をあげたかったんだ!」
「…だからって」
「ごめん!今から、監督と話があるんだ!捨ててもいいから取りあえず持ってて!」
そういって、もゆは、日向の胸に花を押しつけて、廊下を走っていった。
「おい!もゆ!!」
無理矢理さしだされた花を見て、ため息をつく日向。
…するとそこに
「あれ?日向、なにやってんの」
「…千歳か」