都会の図書館
□父と娘(中編)
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それは、伊月が高校生のころ
伊月には、1人の妹が居た。
名前は、月那(つきな)
月那は、とてもおしとやかで、サッカーをやる兄の姿が大好きだった。
「お兄ちゃん。差し入れ持ってきたよ」
「ああ…悪いな。」
「今日ね、体育でマラソンがあってね、2位だったんだよ」
「そうか、よかったな。月那」
「うん!」
月那は、この当時小学校に入り立てだった。
伊月は、高校三年生でサッカー部所属キャプテンを任されメンバーからもすかれていたのだった。
「お!キャプテンまた妹さんですか?」
「まあ、な」
「いいな〜あんな子が妹で、俺んとこなんか本当にナマイキなんですよ!」
「それは、お前の日頃の行いが悪いせいだ」
「え〜〜!!」
「まあ…大人系の本をどっかに隠すことだな」
「なんでキャプテンまで知ってるんすか!」
こんな感じで、サッカー部はとても和やかだった。そばにいた月那もよくわからないが、笑っていた。
−−−−−−
「ただいま〜…月那?」
「あ、お兄ちゃんお帰りなさい!ちょうど夕食できあがったんだ!」
「そうか…そのキズ、どうしたんだ?」
月那の両腕には、包帯を巻いていた。
わずかであったが、血もにじんでいた。
「ちょっと、階段で転んじゃって…でももう大丈夫だよ!」
「そう…か」
「早くごはん食べよ!お風呂も沸いてるから」
「…ああ」
包帯が気になっていたのだが、月那にせかされてしまいなにがあったのか聞けなかった。