都会の図書館
□苦手なアイツ
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数時間がたち、もゆは、グラウンドのベンチに腰掛けいた。
「…どうしてなんだろう…新伍が来ると…どうして逃げるのかな……」
自分でもわからず逃げてしまう自分を責め続けるもゆ。名前を呼ばれたらすぐにでも話したいことがたくさんあるのに…。
そう思いながら空を見上げていると。
「もゆ?なにしてんの?」
「げっ………反町…」
「”げっ”はないでしょ?”げっ”は!」
もゆ曰く”反町は何者かわからん”ということらしい。反町には自分の情報はほとんど取られていて、プライバシー侵害といってはいるものの、公表してないからいいじゃんという返答が来て、もゆは頭を抱え続けていた。
「で?なにしてたのさ。もゆは」
「別に」
「葵のことじゃないの?」
図星
もゆは、慌てたような町史で反町をみる。反町は予想が的中したと思い、にやにやと笑いを浮かべていた。
「俺の予想…当たってたみたいだね」
「……反町…ちょっと聞きたいんだけど」
「俺のわかる範囲なら」
そういって、もゆは、ほんの少し笑って反町をみた。
反町は、なぜか照れくさい感覚を覚えていた。
「私…新伍とあうと…なんか変なんだよね」
「変って?」
「新伍と合うとなんかうまく話せなくって、心なしか顔も朱くなってるって言われてるし…」
「もしかして、他の誰かと話してると不安になったりいらいらしたりする?」
「…………うん」
”ははーん”
そういって、反町はふたたびにやにやと笑い始めた。
数分後、もゆに結論をくだす。
「もゆ……お前」
「ん?」
「そういうのを、人は”恋愛”っていうんだ」
沈黙
「………$%#!!#”?”!$#///!!」
「…何語だそれ」
もゆは、冷静になりもう一度反町に聞く。
「そ…そそそ…反町…」
「わかった?それが”恋”ってやつなんだよ」
「でも…私は…」
「告白してもダメに決まってる?……そんなのやってみなきゃわかんないだろ?」
うん、ともう一度首を縦に小さく振る。
「お前らしくないし。今度あったら告白してみろよ!」
「…反町…」
「それに、”今度”じゃなくて”今すぐ”になりそうだな」
「?」
そういって、反町が指さした方向を見ると噂に出た葵が猛スピードで走ってきた。
反町は”がんばれよ”そういって寮に向かったのだった。