森と君と+呪いたち
□7:私の終わりはあなた
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「一緒に、来るんだ」
冷淡な声。どこか、変わってしまったのかもしれない。あるいは、私が、変わらなすぎたのかもしれない。
私の腕を引っ張り、無理やり立たせると、強引に部屋を出ようとする。
──よく、わからない。
どういう事情で、彼はここにいるのだろうか。なんにも聞いていない。聞いていたとしても、覚えてはいない。
──まあ、悪くはなかった。このまま出かけるのも。さよならなんて、言わない方がいい、なんてのは、こちらの一方的な都合だけど。
私が今、ここからいなくなっても、きっと『彼』はしばらくの間なら、また、抜け出したと思ってくれるんだろうな。
外の風を吸い、跳び跳ねて、その一時が幸せだった。それが、これからは外界そのものに出かけてしまって、もうここに帰らなくなるんだなと、直感したのに、悲しくなかった。
どうせ私は忘れていくのだ。ここも、明日も──きっと、あなたも。ちょっと、悔しいけれど。あなたが呼んでくれた響きを思い出す。
偽物の、わたしの、名前。──フレネザ。
ああ、嬉しい。