森と君と+呪いたち

□4:太陽を、願う
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「わああ。セイ、くん、よろしくね!」

「うん。あの、えっと……」

「魚は好き? 食べる? 干物持ってきたんだー」

「う……」

「なに? やっぱり干し肉のが良かったかな」


「お、おおお落ち着けー!」

落ち着いてないのは、自分だと自覚しながらも、セイは声をあげた。顔が熱い。ドゥロロはびっくりした様子もなく、少し考えて、あ、そうか、と一人納得する。

「挨拶がまだだったね。今日から、お世話になります。よろしくお願いします!」

「……よよ、よろ、しく?」


その後、セイとドゥロロはすぐに打ち解けた。打ち解けたというよりは、最初から壁を作っていなかったという感じかもしれない。

──ドゥロロが来てから、朝飯も昼飯も、そして夕飯も、一段とにぎやかになっていた。いきなり兄弟が増えたというのに、セイはなぜだか違和感を覚えなかった。


「おかわり!」

ドゥロロが食卓でそう言えば、ナリエは喜んで椀を取る。
彼は驚くほどよく食べる人物だった。そして、よく木にのぼるし、よく泳いだ。食べられる植物を見つけては摘んできたり、水切りに使えそうな石を見つけては大事にしていた。

こんなにも活発な人を、セイは今まで見たことがなかった。
生き物はだいたい好きで、魚類や鳥類の友人もいて、苦手なのは洞窟のコウモリや、血を吸う類いのものらしい。
しかし、その反面で、自分の限界の力加減を理解しきれないのか、無茶をやらかして体調を崩すこともある。

母はそんな彼のことをえらく気に入っていた。
セイも、慣れるうちにどこか彼に人間的に惹かれているものがあった。面白い人物だ、と思ったのだ。

一週間ほど共に過ごした後に、ドゥロロは言った。
突然だった。

「自宅に帰るよ」

「帰るって、なに、どこに?」

セイは動揺した。
遊び相手が減ってしまうのは、大事な問題だった。
ただでさえ、しばらく病院にいたこともあってか、あまり親しい人がいるわけではない。

「ぼくの部屋」

「……え?」

ドゥロロがそう、なんでもないことのように言ったので、セイはどうしていいかわからなかった。
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