森と君と+呪いたち
□7:私の終わりはあなた
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帽子を被りなおしながら、セイは小さく息を吐いた。自分が異常であるというのは、以前から薄々感じていることだった。
しかし、これまで、確信がなかった。個性、という言葉に、誤魔化せる範囲にあると、信じ続けてきた。
人は、それぞれなのだと、気にしたことさえなかった。
生きる上での違和感。言葉にしたことがなかった、不自然な感じ。その正体に、自ら近づきつつあるのだろうか。
「あ──フレネザは、どうして、森に、居たのかな」
あの場所を抜けて、どうして、あそこまで来たのだろう。写真を結局、渡せずにいる。
「あ、セイー!」
右方から声がした。見ると、ドゥロロが走って来ているようだった。
ほっとして、声をかけようと口を開く。
「どこに、行ってたんだ?」
ドゥロロは、今朝よりも、少しボロけた服装だった。どこかに、山菜でも採りに行ったのだろうか。
「んー……ちょっと、ね」
ドゥロロは、嘘も、真実も告げなかった。曖昧な表情で誤魔化す。こんなことは、めったになく、下手な嘘をつかれる方が、よほど納得出来ると落胆した。
同時に、怒りが沸く。
どうしてか、感情が暴れた。なんだかムッとして、セイはしぶとく食いつく。
「なんだよ……なあ、なんだよ、それ、言えないようなことなのか?」
「セイ……?」
セイの目付きが違う。
今までと、何か変わった。見たこともない、不自然な輝きを放っている。
ドゥロロは思わず後ずさる。
「言え」
「セイ、どうしたんだよ、なんだかまるで……」
「うるさい。言えよ……ほら、早く」