森と君と+呪いたち

□10:進む刻、刻む道
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 友人の話はまとめるとこうだ。
 《『人工で妖木の血を引く子ども』を完成させる。もしこれが成功すれば、不老不死の技術が得られる。不老不死の技術は世界中が欲しがってやまないから、儲けられるどころではない》

──だが、その実験途中で、少女が逃げ出した。脱走癖があるものの、だいたいはすぐに戻って来ていたので、そんなに問題に思っていなかったが、ある日、ついに帰って来なくなった。

「これでは、長年やってきたことが、全部無駄みたいじゃないか!」


 苛立ちを隠しきれず、自分が彼を選んだのが違っていただとか、そもそも、そんな大それたことは不可能だとか、今さらのように友人に対するささやかな恨み事ばかりを呟いて、彼は空を睨む。

(……血のような、不穏な、真っ赤な空だな──)
 ──そういえば、毎日のように施設に来ていた少年も、最近では来なくなったと、思い当たる。あの少年は、彼女を唯一気にかけているようだったのに。


「……そういえば、あの少年は、結局いつまで経っても、《木》にはならなかったな」
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