猫の間
□Part.1
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猫の王様
友達(以下A)の家に行ったら、いつも出迎えてくれる猫のトラがいなかった。
「トラやんどうしたの?」と聞くと、「猫の王様になったみたい」と、Aは寂しそうに言う。
以下はAから聞いた話。
ある日、Aは夢を見た。
二足歩行の猫達が玄関前まで着て、Aは何故か自宅のポストの前に立っていた。
「何で猫が二本足で歩いてるの?」とAが思うと、先頭を歩いていた猫が「〇〇〇トラ〇〇様(〇〇の部分は覚えてないとの事)のお宅か?」と聞いてきた。
不思議に思いつつも「そうです」と答えると、その猫は「□□□□がお亡くなりになりましたので、〇〇〇トラ〇〇様に次の王をお願いしに参った。〇〇〇トラ〇〇様にお伝え願う」と言い、猫達は再び二足歩行で歩き去って行った。
そこで目が覚め、時計を見ると深夜1時頃。
枕元で丸まって寝ているトラに「二本足で歩いてる猫が、お前に次の王様をお願いしますって言ってたよ」と呟くとトラも目を覚まし、やたらと甘える仕草をし始めた。
耳にトラの頭が当たったときに「もう行かなきゃ…もう会えないけど、大好きだよ、A…」と何となく聞こえた気がした。
すると急に意識が遠くなり、再び目を覚ますと早朝。
枕元に丸まっているはずのトラはいなくなっていて、トラにつけていた首輪が置いてあった。
それ以来、トラは帰ってきていない。
ネットや図書館などで調べてみると、世界中で『猫の国』という伝説があるらしく、上記のような話が世界各国に伝わっていて、大体「ワタシが王に選ばれた!」と猫が人間の言葉で叫び家を出て行き、二度と戻ってこないらしい。
要するに、トラは『猫の王様』になったそうだ。
Aは寂しそうだったが、「でも王様になったんだよ。それに、夢かもしれないけど『大好き』って言ってもらえたし…トラには頑張ってもらわなきゃな」と笑っていた。
本当かどうかは判らないが、ちょっとした小話。